2023年8月31日木曜日

雑銭を開封する

こんにちは、右扇です。

今日はみんな大好き雑銭開封の記録を開陳したいと思います。

ヤフオクで落札しました。約10kgで送料含めて約13,500円。つまり、グラム単価1.3円です。大体グラム単価は2円程度が相場と言われているので、だいぶ安く落札できたのではないでしょうか。

自分は目利きができないので、とにかくグラム単価を抑えることをポリシーにやっています。

3日後、届きました。「さあ剥くぞ」というこの時間が一番楽しいまであります。

こういう感じで仕分けしていきます。蒐集物(植民地貨幣とか)、ニッケル・錫(卑金属貯蔵)、日本貨幣、海外貨幣という分け方です。

謎の小袋が入っていました。中にはコインホルダーがたくさん。コインホルダーにわざわざ入れるってことですから、かなり期待値高いです。興奮します。

10kgの選別に約3時間かかりました。至福の時間ではあるのですが、2時間を過ぎたあたりからちょっと飽きてきます。つまり、6kgくらいの雑銭が精神衛生上ちょうどいいということでしょうか。

では、まず主な蒐集物をご覧にいれます。

色々わちゃわちゃしていてかわいいですね。ピックアップして紹介します。

こちらは、NEDERLANDSCH INDIE,オランダ領東インド(現在のインドネシア)の1セント青銅貨です。雑銭からよく出てきます。

まだ雑銭を買う習慣が無かった頃、これがありふれていることを知らず、わざわざ110円+送料でもっと状態の悪いものを落札したことがあり、後悔しています。無知は罪。そんな思い出のコインです。

数枚出てきたのですが、そのうちの1枚は光沢が残っていて綺麗です。ちょっと錆びているのは減点ですが、目を瞑りましょう。

ギザ十も出てきました。ギザ十に関しては、特にこだわりなく、しかし蒐集しています。やっぱり現行貨幣ですから集めたくなるんですね。素朴です。

特筆すべきは、これがギザ十である前に10円の価値を持つ十円玉であることです。ギザ十は4.5gです。今回の購入はグラム単価1.3円でしたから、十円玉を5.85円で購入できたことになり、その差益4円15銭も儲けることができました。

テッカテカのトーンがついた一銭青銅貨です。純粋に「手元に置いておきたい」ということで蒐集しました。

こちらはローデシア・ニヤサランド連邦(現在のザンビア・ジンバブエ・マラウイ)の3ペンス白銅貨です。ローデシア・ニヤサランド連邦といえば、筆者の敬愛する漢・セシルローズが深く関与した国です。集めざるを得ません。

次に、期待膨らむホルダー入りコインの蒐集物です。

大半は1セント硬貨等でしたが、いくつか筆者にぶっ刺さるものがありました。

特に刺さったのがこの2枚。仏領赤道アフリカと仏領カメルーンの1フランアルミ貨です。こういうの、わざわざ買う機会がないじゃないですか。それを、ホルダー入りの美品の状態で入手できたのはアツいです。

そして問題の、謎の15,000円貨幣。中華民国の台湾省の壹角。

もし本当に15,000円の価値があるなら、雑銭の購入額を一発で回収できたことになります。

あまり中華民国の貨幣に興味がないので、早速ヤフオクで売り払うことにしました。





全然でした。


蒐集物は以上です。最後に、お楽しみの卑金属貯蔵タイムです。

ニッケルは370gでした。2.9円/g換算で1073円の価値です。

やはりフラン硬貨が多いです。

あと、ホルダー入りの美品十銭が嬉しかったです。

錫は651gありました。2円/g換算で1302円です。割と多めでしたね。

それでは、また次回お会いしましょう。

2023年8月26日土曜日

本郷を歩く・本郷三丁目

 連作『本郷を歩く』第三回。


前回「本郷二丁目」編で、散々二丁目にある本郷三丁目駅について触れたので、もう三丁目編も書いた気になっていた。本郷三丁目は以下の範囲である。

 

本郷全体の右下部分である。

 

この記事は東大生が結構読んでいる(と思われる)ので、分かりやすく説明すると、この「東京大学仏教青年会」がある区画が三丁目である。これ、初めて見た時からずっとカルトだと思っている。実際どうなんだろうか。

 

この辺りは東大はもちろん順天堂や日大、東洋大など大学が多いことから、学生好みのご飯屋さんで賑わっている。特に坦々麺が多い気がする。そういうわけで、試みにこの汁なし坦々麺の「キング軒」に入ってみた。

 

700円か750円。結論から言えば、山椒が全く口に合わなかった。水を飲んでも後味が悪かった。よって、オススメしません! と言いたいところだが、かなりお客さんは入っていたので、一度試してみるべし。

このキング軒は広島のお店で、汁なし坦々麺も「広島風」。お好み焼きよろしく「広島坦々麺」と呼んだら怒るのだろうか。筆者は油そばなど汁なしの麺類が好きなだけに、山椒が合わなかったのが残念。


近くには「フランス大衆食堂」という非常にそそるお店「ブイヨン本郷」もあったが、年始で閉まっていたし、ちょっと野菜が多いので残念ながらパスした。野菜が苦手なために、人生で損ばかりしている。

 

南に歩くと、巨大な順天堂大学の附属病院が鎮座している。順天堂医院の話では、平成当時の天皇陛下の執刀を担当したことが有名か。執刀医・天野篤医院長は麻雀とパチンコに明け暮れ3浪で医学部に入ったという。「天皇の料理番」のようなエピソードである。「神の手」はパチンコ通いで磨かれたわけだ。

 

一度南の方に行った後、傘谷坂を北上することにした。傘谷は「からかさだに」読む。

「からかさ」とは、江戸時代っぽい傘のこと。もちろん、傘職人が多く住んだことからその名が付いた。


そんな傘谷坂は、今ではすっかり「サッカー通り」という雑な名前を与えられている。この名前は、JFAがこの通りに本部を構えることによる。JFAといっても、水産庁(Japan Fisheries Agency)でもなければヨルダンサッカー協会(Jordan Football Association)でもない。Japan Football Association、日本サッカー協会である。

 

ミュージアムが併設されているので、チラ見することにした。3つのユニフォームが出迎える。左からスペイン、ドイツ、クロアチア。日本代表が戦ったチームはもう一つあった気がするが、誰も気にしない。この3チームとの試合の録画がそれぞれ垂れ流されていた。

 

地下にはJリーグ各クラブのコーナーもあり、我らが大分トリニータもしっかり展示されていた。

大分トリニータ。元々は「大分トリニティ」だったが、トリニティでは商標登録が叶わず改名。トリニティ+オオイタでトリニータ。

トリニティは「三位一体」の意。県民・企業・行政の三位一体を意味する通り、県民・企業からの募金と行政からの緊急融資を受けまくっている。「三位一体」の名の通り、一時はJ3まで堕ちた。愛すべきチーム。

 

とっととミュージアムを出て、サッカー通りを進む。マリオカートっぽいアジア料理屋さんがあった。インド・ネパールと書いてあるということは、中の人はネパール人なのだろう。東大生が旧帝大生と名乗らないのと同じことだ

 

文教堂書店。文京区にあるから文教堂?

こういう街の小さな書店推せる。中学生の頃、近所にこんな感じの書店を発見して入ってみたら、お婆ちゃんが経営しているくせにエロ本だらけで興奮した思い出がある。

 


三丁目には珍しい公園。結構カラフルなベンチがあって過ごしやすそうなのにGoogleマップのレビューが低く、曰く「ビジネスマンや学生が屯している。」とのこと。なるほど、レビューを書くのはビジネスマンや学生ではなく子連れであることによるバイアスがあるらしい。

 


「大型車通り抜け困難」との警戒標識。文京区にはこういうオリジナルの警戒標識があって、本郷界隈にもいくつかある。どうせまた紹介することになろう。

 


日活本社。日活は映画会社で、東宝とか松竹とかそんな感じ。昔は結構有名だったような気がするが、今では大したことない。ポルノ映画に強いはず。

筆者はいまだに日活が存在していることを知らなかった。ちなみに日活は「日本活動写真」の略。言うまでもなく、活動写真とは昔の映画の呼び方である。この呼び方、老人がアニメのことをマンガと呼ぶことと似ている。

 


オカモト株式会社。コンドームでおなじみだが、実はラップや産業用のフィルムなどにも強い会社だということらしい。


本郷一丁目編

本郷二丁目編

錫価格4円/gの衝撃と雑記

先般、ニッケル(2.9円/g)を貯蔵してニッケルバブルで成金だゲヘヘという内容の記事を投稿しました。

すると、Twitterで「錫の方が価格高いですよ」とコメントをいただきました。

またまたぁ〜

筆者は曲がりなりにも貨幣蒐集家兼歴史オタクであって、太平洋戦争中に日本が資源不足でやむなく錫を貨幣に使ったという歴史を知っています。そんな「やむなく金属」である錫が高いわけ

高かったです。衝撃のグラム単価4円。

これを受け、家中の錫貨幣をかき集める運びとなりました。

結果が次の通りです。

総重量5800グラム!

単純な4円換算で23200円相当!いや〜お金持ちですみません。

しかし、そう甘い話はないのでした。

次の穴あき十銭錫貨を例に考えてみます。

純錫はとても貨幣としての使用に耐えられないので、組成は錫93%・亜鉛7%となっています。

それでも9割以上が錫なんだからいいじゃないかと思う方もいましょうが、この亜鉛が曲者なのです。

そもそも亜鉛自体は全然価値がありません。0.3円/gです。カスです。

そして、合金となると買取価格は大幅に下がってしまうのです。

当該錫貨幣の買取価格は分かりかねましたが、2円/gで買い取ってもらえれば御の字といったところではないでしょうか。

純ニッケル貨の記事で強調した「純金属であること」は、やはり大切だったということです。


とはいえ、錫が卑金属の中では高価なものであることは事実です。将来の高騰を期して、貯蔵していきたいと思います。

以下、日本の錫貨幣を紹介します。

一銭錫・亜鉛貨

品位:錫50%亜鉛50%

量目:1.3g

4種類の錫貨のうち、唯一組成が亜鉛と1:1、なんて情けない。それゆえ、錫・亜鉛貨と呼びます。

一応、終戦まで発行され続けたらしいです。


穴あき五銭錫貨

品位:錫93%亜鉛7%

量目:1.95g

我が家には十銭ほどはなかった、少数派です。十銭よりやや小さめで、デザインは同じとなっています。紛らわしかったでしょうね。


穴あき十銭錫貨

品位:錫93%亜鉛7%

量目:2.4g

デザインは五銭錫貨と同じで、少し大きいです。4種類の中で一番量目が大きい「当たり」です。


鳩五銭錫貨(日本政府)

品位:錫93%亜鉛7%

量目:2g

こちらは戦後にGHQの許可を受けて発行され続けたもの。「大日本」から「日本政府」に発行者が変わっています。品位は穴あきと同じです。


その他、タイなどでも錫貨が発行されたと聞きましたが、雑銭から出てきたことはないです。

ともかく、みなさんも僕と一緒に卑金属成金を目指しましょう。


おまけ 純亜鉛貨

こちらは雑銭から出てきた、ドイツ第三帝国の5ペニヒ亜鉛貨。

量目は2.5gで、亜鉛は0.3円/gなので、金属価値は約0.75円。ざ〜こ

2023年8月20日日曜日

純ニッケル貨の貯蔵について

205X年、世界は核の炎に包まれた!全ての株式・債券が死滅したかに思われた!

ただ一つ生き残った資産こそ、現物資産であった。現物資産を持っている者が王となった。

現物資産……金、銀、そして、ニッケルであった。


というのは流石に冗談ですが、ニッケルが一定のレアメタルであることは事実です。そしてまた、純ニッケル貨が雑銭からちょろちょろ出てくるのも事実です。

ですから、これを貯蔵することで、インフレに負けず、数十年後の値上がりを期そう、ということを最近やっています。

感覚としては、本当は金の延棒をかき集めたいところ、そんなお金はないので、ニッケル貨を金の延棒に見立てているとご理解くださると幸いです。

ちなみに、ニッケルの現在の価値は2.9円/gです。

銅価格は1.2円/gであることを考えると、そこそこ高いでしょう。

ニッケルはレアメタルなのです。


ここでこだわるのが、ニッケル貨であるということです。

ニッケルを一部に含む貨幣なら沢山あります。例えば、100円玉は銅75%、ニッケル25%の組成です。いわゆる白銅貨は大体こんな組成です。

でも、白銅貨を集めるのはポリシーに反します。以下の理由によります。

①多すぎてキリがない。

②金の延棒は金に決まっている。ならばその「見立て」であるニッケル貯蔵もニッケルでやるべきだ。

③いざ換金しようと業者に持ち込む際、純ニッケルじゃないと面倒くさそう。


では、以下、雑銭から出てきがちな純ニッケル貨をまとめます。


フランス旧1/2フラン貨(1964-2001)

フランス旧1フラン貨(1959-2001)

フランス旧2フラン貨(1977-2001)

まさによく出てくるやつです。全年号がニッケルなので楽チンです。

注意が必要なのは、大きい旧5フラン貨は、ニッケルでメッキした白銅貨だということです。ニッケルは26%しか含まれていません。


カナダ5セント貨(1946-1950,1955-1981)

カナダ10セント貨(1969-1998, 1999と2000でpの刻印がないもの)

カナダ25セント貨(1968-1998, 1999-2001でpの刻印がないもの)

これもよく出てきます。

5セント貨は1981年まで、それ以外は基本的に1998年まで純ニッケルでした。

ちなみに、カナダドルはおおむね1カナダドル=100円のレートですから、25セント貨には25円の価値があります。そういう意味で価値が担保されているのが、旧フラン貨との違いですね。旧フラン貨は現行ユーロとの交換を行なっていませんから。

尤も、マイナーなカナダ硬貨をいざ日本円に交換する、というのは至難の業ですが。


大日本帝国5銭貨(1933-1938)(S8-S13)

大日本帝国10銭貨(1933-1937)(S8-S12)


日本古銭を買ったら紛れているやつです。

特に五銭貨はデザインがとても良いですね。ドイツ第三帝国っぽくもあり、大政翼賛っぽくもあり、旭日旗っぽくもあります。

ただ、純ニッケルとして見ると、穴あきなのが残念です。穴の分、質量が減っています。

戦後日本のニッケル五十円玉については、追記3を参照のこと。


フランス領ニューカレドニア10フラン貨(1967-2005)

フランス領ニューカレドニア20フラン貨(1967-2005)

フランス領ニューカレドニア50フラン貨(1972-2005)

不肖ワタクシ、一応貨幣蒐集のポリシーとして「植民地貨幣」を掲げております。そういう意味でも、仏領硬貨は興味深い蒐集対象です。

そもそも、ニューカレドニアは世界有数のニッケルの産地です。フランス硬貨のニッケル素材なんて全部ニューカレドニア産でしょう、多分。地産地消ですね。


フランス領ポリネシア10フラン貨(1967-2005)

フランス領ポリネシア20フラン貨(1967-2005)

フランス領ポリネシア50フラン貨(1967-2005)


フランス領ポリネシアも同様です。ニューカレドニアよりはこちらの方がよく出てくる体感です。
どちらも2006年以降は白銅貨ですので注意です!

追記②アリ

他にも頻出するニッケル貨がありましたらご一報ください。以上、右扇でした。

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追記① 錫価格
今の時代、ニッケル(2.9円/g)より錫(4円/g)の方が高いというご意見を賜りました。
今後、錫貨の貯蔵に関する記事も書きます。

追記② オランダ・ニッケル貨
オランダのギルダー硬貨も純ニッケルですので、紹介したいと思います。


オランダ10セント貨(1950-1980)(1982-2001)
オランダ25セント貨(1950-1980)(1982-2001)
オランダ1ギルダー貨(1967-1980)(1982-2001)
オランダ2・1/2ギルダー貨(1969-1980)(1982-2001)

(古い2・1/2ギルダー貨、新しい10セント貨は見つからず)

残念ながらギルダー硬貨のユーロへの交換は終了しており、貨幣としては無価値です。
参考までに、ギルダー紙幣のユーロ交換レートは1ギルダー=0.453780ユーロ=約70円です。


追記③ 五十円ニッケル貨
本稿はあくまで「雑銭から出てくるニッケル貨」ですが、雑銭から出そうにない五十円玉も追記で取り上げることとします。
五十円玉には現在発行されているものの以前に2種類があったことは、当ブログをご愛読の諸兄ならばご存知のことかと思います。


これらはいずれも現在でも法定通貨であり、かつ、純ニッケル貨です。
しかしながら、問題があります。例えば、無孔の方の量目は5.5gであり、ニッケル貨としては約16円の価値です。これは、当然ですが、50円より低い数字です。
ですから、今現在ニッケル五十円玉をニッケル貨として扱うことは損でしかありません。そもそも法定通貨ですから、業者が鋳潰したら犯罪です。
ニッケル価格が9.1円/g(9.1≒50/5.5)を上回り、かつ法定通貨でなくなる時まで、5五十円ニッケル貨はニッケル貯蔵としての価値を有さないことになります。
このほかに、日本で発行された純ニッケル貨はありません。