2023年3月15日水曜日

「五円」を入れたら「ご縁」があるように、「五兆円」を入れたら「五兆円」があるのか

 ある日、インスタの検索画面に出てくるオススメ投稿を眺めるという最も不毛なことをしていると、この投稿が目についた。面白い4コマである。

 


「五円」を入れると「ご縁」がある、というのは広く知られた賽銭箱の効能だろう。これを踏まえて、あって欲しい「五兆円」の為に、その「五兆円」をまず用意して賽銭箱に入れよ、と魚は言うのだ。

言うまでもなく、我々は「五兆円」はあって欲しいが、予め用意できない。その倒錯におかしみがある。

 

つまり、賽銭箱に物を入れるに際しては、欲しいものを予め用意し投入しなければならないという矛盾がある。質量保存則のようだ。

この矛盾を超克するのが、先に示された「五円」→「ご縁」ルートである。同音異義語の置換が認められているのだ。

 

考えてみれば、人との縁が五円で生成されるというのは破格である。逆に、人との縁を賽銭箱に投入して得られるは五円と考えると、寂しい限りである。

 

では、これら賽銭箱の効能を利用して、一発稼げないだろうか?

 

QRコード決済を利用する

最近は小銭が集まっても困るということで、QRコード決済を利用できる賽銭箱も増えてきた。

先に示したように、賽銭箱には「五兆円」を入れると「五兆円」が返ってくるという性質がある。これがPaypayを通しても同じだと仮定すると、例えば「五兆円」を賽銭箱に入れると250Paypayポイントが返ってくることになる。Paypay0.5%還元だからである。

 

②同音異義語を利用する

これが案外難しい。例えば「五兆円」が欲しい場合、「ごちょうえん」という発音のものを賽銭箱に入れる必要があるが、そんなものはない。「胃腸炎」を入れればギリギリ「一兆円」が貰えるのではないか、というのが筆者が捻り出した案である。しかし、そもそも胃腸炎を賽銭箱に投入するというのが分からない。

そう、賽銭箱とは金を入れる場所なのだ。原点に立ち戻り、「五円」から「ご縁」を生むように、少額投資で付加価値の高い現物を得るべきなのだ。

いちえん、にえん、さんえん、よえん、ごえん、ろくえん、ななえん、はちえん、きゅうえん、じゅうえん、せんえん、いちまんえん、、、、、

ダメだ、「ご縁」以外にない。

 

いや、お金を入れれば良いのだから、必ずしも日本円である必要はない。日本円以外の通貨単位に可能性を見出したい。

 

まず「銭」である。賽銭箱というくらいだ。いっせん、にせん、さんせん・・・

「二選」「三選」に通じることから、再選を狙う政治家にはオススメかもしれない。賽銭だけにね!

今気づいたが、この記事は一貫して親父ギャグで構成されているのか。恥ずかしい。

 

次は外国通貨を考える。3つほど案を考えてきた。

 

①3マルク

株式会社サンマルクホールディングスが貰えるはずだ。時価総額408億円、1株1800円。

 

②5リラ

ゴリラが貰えるはずだ。8000万円とのこと。しかしながら、現金化するまでの手間と費用を考えると難しいかもしれない。

 

③3フラン

ギリギリ「サフラン」が貰えるはず。高級スパイス、一瓶0.4g入りで定価が615円。手堅く稼ぐならこれが良いのでは。

 

ドシドシ外国通貨を賽銭箱にぶち込んで神主を困惑させよう!

2023年3月8日水曜日

大分県の未確定県境・その1(英彦山)

領土問題といえば「北方領土」「竹島」「尖閣諸島」の3点セットだが、大分県民ならばあと2つも言えなければならない。「英彦山」と「みそこぶし山」である。

 

 

リメンバー・ミソコブシ!!というのは冗談だが、その県境論争について概観していきたい。

先ず本稿では、比較的有名な「英彦山」を巡る議論について見ていく。

 


英彦山は、修験の山であった。「ひこさん」と読み、もともと彦山と書かれていたが、江戸時代に霊元法皇の院宣で「英」の字をつけたという。こういう読まない字を「雅字」という。

山伏の修験道場として古くから栄え、大名に匹敵する勢力を有していたともいう。が、次第に衰退した、という話は他所と同じだろう。

 

その英彦山を神体山とする英彦山神宮は、ちょうど県境の地域にある。問題は、この部分の県境が未確定であることだ。

 

 

直線距離にして約2キロメートルの区間で、県境線が途切れていることが分かる。

この地域の領有をめぐり、大分・福岡両県は次のように県境線を主張している。

 

(長野覺(1988)「山岳霊場に於ける聖・俗境界の諸相九州英彦山を事例として」より)


分かりやすくGoogleマップに引き直したものが次の通りである。ちなみにGoogleマップは(ありがたいことに?)大分県主張線を採用している。

 

 

問題の焦点は、英彦山神宮が尾根線にあることである。

大分県はこの未確定県境について、次のように考えている。

「このあたりの県境はいずれも嶺通りを境としており、当該地のみそうでない結果となるのは疑問である。」

つまり、英彦山神宮の存在を無視し、尾根線を県境とすべきということだ。

一方の福岡県は、山伏が修行するエリアを示す「聖域線」を重視する。尤も、これは明治時代の話。現在の福岡県の立場は、明治34年(1901年)に設定された「妥協線」の遵守を大分県に求めるものとなっている。

 

よって、問題は次のオレンジ色エリアの領有帰属である。

 



単純な主張合戦ではなく、一旦曖昧に「妥協」されたものを争っているがゆえに複雑であり、現在に至るまで未解決の問題になっている。

係争地の面積は約85万平方メートルで、これは0.85平方キロメートル、東京ドーム約18個分の面積である。この係争地は今のところ、福岡県とみなされている。

 

大分県はなぜ妥協線を超える主張を始めたか。まさか筆者のような大分ナショナリズムのためではあるまい。

これは、「国への交付金申請に伴い、山林の面積を広めに画定させようとした」と、読売新聞では説明されている。

仮に大分県の主張が通った場合、大分県の増収はいかほどか。

 

森林・湖という条件が異なる概算ではあるものの、十和田湖(61.02Km2)の事例によると、十和田湖が配分されたことで「両県と両市町に年計約6,700万円の交付税が入ります」とある。

61.02平方キロメートルで地方交付税が約6,700万円だから、係争地(約0.85Km2)は約93万円の交付税が相当すると思われる。また、他に若干の固定資産税などが増収となりうる。

つまり、100万円の為に争っているということだ。

 

と、概要はこのくらいだろうか。他に書くこととしては、

・妥協線確定の史料(福岡共同公文書館にあるという噂)

・妥協線確定に際して参考にされた「里道」

・現地調査

くらいか。

 

思うに、そもそも英彦山周辺は俗権が入り込めない歴史的経緯があった。また、当地域はもともと両方「豊前国」であり、当該県境線は明治時代に大分県ができた際に新しく書いたものである。こういう事情があると推察される。

 

次回・みそこぶし山

ネット上に情報がないので頑張ります。とりあえず町村史を読まねば。

 

【参考文献】

総務省地方交付税制度の概要

長野覺(1988山岳霊場にける聖・俗境界の諸相九州英彦山を事例として『歴史地理学紀要』30、pp.123-151

国土地理院十和田湖周辺の青森県・秋田県境界が画定しました

[Wonder]神の聖域 県境どこ? 英彦山 福岡・大分の対立120年読売新聞、2020年9月19夕刊

 

 

2023年3月6日月曜日

「首相動静」みたいにスケジュールを書いたら首相っぽくなるのか

 首相動静をご存知だろうか。

 

首相動静(2月13日)

 

午前中は来客なく、公邸で過ごす。

午後2時35分、公邸発。同36分、官邸着。報道各社のインタビュー。

午後2時40分から同52分まで、森昌文首相補佐官。

午後2時56分から同3時24分まで、中谷元・首相補佐官。

午後4時22分、官邸発。

午後4時25分、自民党本部着。同26分から同58分まで、同党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長。同5時2分から同13分まで、党役員会。同17分から同20分まで、静岡、浜松両市長選立候補予定者に推薦証渡し。

午後5時31分、同所発。

午後5時34分、官邸着。

午後6時4分から同23分まで、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談。

午後6時41分、官邸発。

午後6時53分、東京・銀座の日本料理店「新ばし金田中」着。青柳俊彦JR九州会長、瓜生道明九州電力会長らと会食。

午後8時38分、同所発。

午後8時51分、公邸着。

午後10時現在、公邸。来客なし。

 

このように、首相のその日のスケジュールを簡潔に記述したものである。

このスケジュールの羅列からは、いかにも首相らしい、多忙な雰囲気を感じる。

 

では、我々非首相のスケジュールでも、首相動静の形式で羅列すれば、あたかも首相であるかのように錯覚させられるのではないだろうか?

試してみたい。

 

午前4時55分、徒歩で私邸を出る。

午前5時、千川駅着、東京メトロ有楽町線に乗車。

午前6時10分、羽田空港着。

午前7時15分、日本航空175便で同空港発。

午前8時15分、山形空港着。居合わせた修行僧と会談。

午前8時50分、日本航空174便で同空港発。

午前9時50分、羽田空港着。

午前10時50分、池袋駅着。

午前11時20分、徒歩で私邸に戻る。

午前11時30分から午後1時50分まで、粗大ゴミの処分。

午後2時、不動産業者に私邸を明け渡し。

午後2時30分、徒歩で友人宅に着く。

午後10時現在、友人宅。来客なし。

 

如何だろうか。

「早朝に羽田空港に向かう」という、「まさか、秘密裡にキーウへ!?」と期待させる場面もあったが、何の事もない、ただの山形往復JGC修行であった。

池袋駅から30分かけて徒歩で「私邸」に戻る交通費節約術も見せつけ、14時にはなんと私邸を明け渡してしまった。

そういうわけで、この日は惜しくも、首相らしい動静とはならなかった。

 

午前11時30分、徒歩で友人A宅を出る。

午後0時20分、東京・池袋の焼肉店「牛角」着。友人Bと会食。

午後1時40分、同所発。

午後2時30分、東京・池袋の劇場「ラスタ池袋」着。友人Bと舞台鑑賞。

午後3時50分、同所発。

午後4時30分、友人A宅着。

午後6時30分、友人A宅発。

午後8時、友人C宅着。

午後10時現在、友人C宅。来客なし。

 

友人が多いことだけはお分かり頂けたかと思う。

前日に「私邸」を失っているので、ホームレス状態で友人と時間を潰したり、友人の家を渡り歩いたりする様子が見て取れる。

そもそも、最後に「来客なし」とあるが、自分自身が「来客」である。

やはり、首相らしくない。

 

午前7時30分、徒歩で友人宅を出る。

午前7時35分、東京・池袋の弁当専門店「キッチンオリジン」着。

午前7時37分、同所発。

午前7時40分、飲食チェーン店「松屋」着。

午前8時、同所発。

午前8時7分、友人宅着。

午後0時45分、友人宅発。

午後0時50分、飲食チェーン店「すき家」着。

午後1時10分、同所発。

午後1時15分、 友人宅着。

午後3時、友人宅発。

午後3時30分、池袋駅着。JR山手線内回りに乗車。

午後4時20分、羽田空港着。

午後5時40分、日本航空179便で同空港発。

午後6時40分、山形空港着。修行僧Bと会談。

午後7時15分、日本航空178便で同空港発。

午後8時20分、羽田空港着。

午後9時20分、友人宅着。

午後10時現在、友人宅。来客なし。

 

この日も、首相らしくない日々であった。

早起きしてキッチンオリジンに向かうも、早朝で品数が少なく、すぐ退散した様子などが読み取れる。

まあ結局「読み取れ」ちゃうので、いかに言葉を繕っても行動がカスだと無駄無意味ということが分かった。

 

首相らしくなりたければ、行動から変えていかねばならない。しかし、まさか

16:52 官邸発。」

10:09 参院予算委員会開会。」

とできるわけがない。

 

そこで、岸田首相の「首相動静」から、我々にも可能そうな動静を探し出し、ランキング形式で発表したい。

 

第1位

 

東京・鍛冶町の「ヘアモードキクチ神田日銀通り店」着。散髪。

 

どう考えてもこれだった。

一部で有名な話だが、岸田首相は「ヘアモードキクチ」で頻繁に散髪する。

なんといっても、「デザインカットコース(シェービング、肩マッサージ付き)」なら5500円で注文できる。

首相の食事などは往々にしてお偉いさんや議員などを伴うので、我々には難しい。

しかし、散髪はマジで散髪である。

 

そういうわけで、首相になりたい人はドシドシ「ヘアモードキクチ神田日銀通り店」に行きましょう。以上です。