2023年8月20日日曜日

純ニッケル貨の貯蔵について

205X年、世界は核の炎に包まれた!全ての株式・債券が死滅したかに思われた!

ただ一つ生き残った資産こそ、現物資産であった。現物資産を持っている者が王となった。

現物資産……金、銀、そして、ニッケルであった。


というのは流石に冗談ですが、ニッケルが一定のレアメタルであることは事実です。そしてまた、純ニッケル貨が雑銭からちょろちょろ出てくるのも事実です。

ですから、これを貯蔵することで、インフレに負けず、数十年後の値上がりを期そう、ということを最近やっています。

感覚としては、本当は金の延棒をかき集めたいところ、そんなお金はないので、ニッケル貨を金の延棒に見立てているとご理解くださると幸いです。

ちなみに、ニッケルの現在の価値は2.9円/gです。

銅価格は1.2円/gであることを考えると、そこそこ高いでしょう。

ニッケルはレアメタルなのです。


ここでこだわるのが、ニッケル貨であるということです。

ニッケルを一部に含む貨幣なら沢山あります。例えば、100円玉は銅75%、ニッケル25%の組成です。いわゆる白銅貨は大体こんな組成です。

でも、白銅貨を集めるのはポリシーに反します。以下の理由によります。

①多すぎてキリがない。

②金の延棒は金に決まっている。ならばその「見立て」であるニッケル貯蔵もニッケルでやるべきだ。

③いざ換金しようと業者に持ち込む際、純ニッケルじゃないと面倒くさそう。


では、以下、雑銭から出てきがちな純ニッケル貨をまとめます。


フランス旧1/2フラン貨(1964-2001)

フランス旧1フラン貨(1959-2001)

フランス旧2フラン貨(1977-2001)

まさによく出てくるやつです。全年号がニッケルなので楽チンです。

注意が必要なのは、大きい旧5フラン貨は、ニッケルでメッキした白銅貨だということです。ニッケルは26%しか含まれていません。


カナダ5セント貨(1946-1950,1955-1981)

カナダ10セント貨(1969-1998, 1999と2000でpの刻印がないもの)

カナダ25セント貨(1968-1998, 1999-2001でpの刻印がないもの)

これもよく出てきます。

5セント貨は1981年まで、それ以外は基本的に1998年まで純ニッケルでした。

ちなみに、カナダドルはおおむね1カナダドル=100円のレートですから、25セント貨には25円の価値があります。そういう意味で価値が担保されているのが、旧フラン貨との違いですね。旧フラン貨は現行ユーロとの交換を行なっていませんから。

尤も、マイナーなカナダ硬貨をいざ日本円に交換する、というのは至難の業ですが。


大日本帝国5銭貨(1933-1938)(S8-S13)

大日本帝国10銭貨(1933-1937)(S8-S12)


日本古銭を買ったら紛れているやつです。

特に五銭貨はデザインがとても良いですね。ドイツ第三帝国っぽくもあり、大政翼賛っぽくもあり、旭日旗っぽくもあります。

ただ、純ニッケルとして見ると、穴あきなのが残念です。穴の分、質量が減っています。

戦後日本のニッケル五十円玉については、追記3を参照のこと。


フランス領ニューカレドニア10フラン貨(1967-2005)

フランス領ニューカレドニア20フラン貨(1967-2005)

フランス領ニューカレドニア50フラン貨(1972-2005)

不肖ワタクシ、一応貨幣蒐集のポリシーとして「植民地貨幣」を掲げております。そういう意味でも、仏領硬貨は興味深い蒐集対象です。

そもそも、ニューカレドニアは世界有数のニッケルの産地です。フランス硬貨のニッケル素材なんて全部ニューカレドニア産でしょう、多分。地産地消ですね。


フランス領ポリネシア10フラン貨(1967-2005)

フランス領ポリネシア20フラン貨(1967-2005)

フランス領ポリネシア50フラン貨(1967-2005)


フランス領ポリネシアも同様です。ニューカレドニアよりはこちらの方がよく出てくる体感です。
どちらも2006年以降は白銅貨ですので注意です!

追記②アリ

他にも頻出するニッケル貨がありましたらご一報ください。以上、右扇でした。

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追記① 錫価格
今の時代、ニッケル(2.9円/g)より錫(4円/g)の方が高いというご意見を賜りました。
今後、錫貨の貯蔵に関する記事も書きます。

追記② オランダ・ニッケル貨
オランダのギルダー硬貨も純ニッケルですので、紹介したいと思います。


オランダ10セント貨(1950-1980)(1982-2001)
オランダ25セント貨(1950-1980)(1982-2001)
オランダ1ギルダー貨(1967-1980)(1982-2001)
オランダ2・1/2ギルダー貨(1969-1980)(1982-2001)

(古い2・1/2ギルダー貨、新しい10セント貨は見つからず)

残念ながらギルダー硬貨のユーロへの交換は終了しており、貨幣としては無価値です。
参考までに、ギルダー紙幣のユーロ交換レートは1ギルダー=0.453780ユーロ=約70円です。


追記③ 五十円ニッケル貨
本稿はあくまで「雑銭から出てくるニッケル貨」ですが、雑銭から出そうにない五十円玉も追記で取り上げることとします。
五十円玉には現在発行されているものの以前に2種類があったことは、当ブログをご愛読の諸兄ならばご存知のことかと思います。


これらはいずれも現在でも法定通貨であり、かつ、純ニッケル貨です。
しかしながら、問題があります。例えば、無孔の方の量目は5.5gであり、ニッケル貨としては約16円の価値です。これは、当然ですが、50円より低い数字です。
ですから、今現在ニッケル五十円玉をニッケル貨として扱うことは損でしかありません。そもそも法定通貨ですから、業者が鋳潰したら犯罪です。
ニッケル価格が9.1円/g(9.1≒50/5.5)を上回り、かつ法定通貨でなくなる時まで、5五十円ニッケル貨はニッケル貯蔵としての価値を有さないことになります。
このほかに、日本で発行された純ニッケル貨はありません。

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