4日 広瀬知事、次の知事選への不出馬を表明
13日 堤栄三県議、決算委で豊予ルートを批判
13日、14日 大分市が豊予ルートの勉強会を開催
14日 九州地方整備局が竹田阿蘇道路の着工を発表
4日 広瀬知事、次の知事選への不出馬を表明
大分県の広瀬勝貞知事は定例会見で、来年春に予定されている県知事選に出馬しない意向を表明した。5期20年に亘る広瀬県政は2023年4月に幕を下ろすこととなる。
〜〜〜〜〜知事記者会見2022年10月4日分より、該当部分書き起こし(筆者による)〜〜〜〜〜
一身上のことでございますけれど、次の選挙で私はどうすべきか、手を挙げるべきか否かということについて熟考を重ねて参りました。結論と致しましてですね、今季限りで知事の仕事を辞めることと致しました。次の知事選には立候補しないということであります。
理由はですね、やはり近頃足腰が弱ってですね、立ち歩きが不自由になって参りました。そのことがやはり最大の原因であります。
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大分県知事は公選になってからの19代に5人しかいない。1979年から24年間・6期に亘る平松県政を引き継いだ広瀬知事も20年間・5期の県政を行った。長期政権志向のある大分県知事ポストが久しぶりに入れ替わることとなった。
広瀬知事は2022年現在全国の知事で最高齢、当選回数も最多タイ。
2003年の就任早々に県債務の削減のため、豊予海峡ルートの推進を打ち切った。しかし、当時喫緊の課題であった東九州自動車道の全通を受け、2014年2月の県議会では「第二国土軸構想や東九州新幹線構想について、将来発展に向けてどう取り組むのか検討する時期に来た」とした。その後、2015年に就任した佐藤大分市長による豊予海峡ルートの推進を県として後援してきた。
13日 堤栄三県議、決算委で豊予ルートを批判
堤氏は13日にツイッターを更新した。内容は以下の通り。
「大分県議会決算委員会。企画振興部では、東九州新幹線や豊予海峡ルート構想について、県や市がシンポを行う場合推進派ばかりで問題点を指摘する人が誰もパネラーでいない。これでは県民が公平な判断ができないではないか。今後負の問題も取り上げたシンポにするように求めました。」ツイートのリンク
正論ではあると思うが、現実的ではないだろう。そもそも問題点を取り上げるのは堤氏のような反対派議員の仕事であって、税金で行うシンポジウムでやる仕事ではないと筆者は思う。堤氏にはぜひ負の側面を取り上げ、県民の議論を喚起して欲しい。
堤県議は本年7月25日にも街頭演説で豊予海峡ルートを批判している。
なお、上記ツイートをリツイートしたところ、堤氏にフォローされた。
13日、14日 大分市が豊予ルートの勉強会を開催
大分市は13日に大分市役所で勉強会を開催した。佐藤市長はもちろん、臼杵市・豊後大野市、愛媛県、日本青年会議所が参加したという。愛媛県の参加は大きなことで、さらに臼杵や豊後大野市の参加も嬉しい。豊予海峡ルートで最も得をするのは大分市であるが、周辺にも大きな経済効果をもたらすことは間違いない。
県内市町村の足場固めは当然のことだが、かねてより筆者が主張しているように、宮崎県にも参加を呼びかけて欲しい。東九州が一体となって豊予海峡ルートを実現させ、これに伴い東九州道を拡幅することで経済効果はさらに大きくなる。
翌日の14日には竹田市の中九州横断道路竹田ICに出かけ、竹田阿蘇道路の工事現場を視察した。この視察は、大分市が豊予海峡ルートについて道路案を重視していることを示すのではないか。
現在の大分県内の高速道路の整備状況は上図の通りである。東九州道と九州横断道は開通しているが、中九州道は未だ建設途上にある。この勉強会と同日に、九州地方整備局は中九州道の県境区間「竹田阿蘇道路」の着工を発表した。中九州道が整備されれば、豊予海峡道路の波及効果も拡大する。大分県の内陸部に位置する豊後大野市が勉強会に参加したのも、そういった意図があってのことかもしれない。
〜〜〜〜〜大分建設新聞2022年10月26日〜〜〜〜〜
大分市は13、14日の両日、大分市と竹田市で「豊予海峡ルート推進に関する勉強会」を行った。勉強会には佐藤樹一郎大分市長をはじめ、臼杵市や豊後大野市、愛媛県、日本青年会議所など豊予海峡ルートの実現を目指す関係行政機関各所、民間団体などが参加した。
初日は大分市役所で開催され、約50人が参加。佐藤市長は「調査やシンポジウムを実施、PRし続けたことにより、豊予海峡ルートの必要性がかなり認識されてきたように感じる。しかしなにぶん一自治体だけの力では実現が難しい。関係する大分、愛媛両県はもとより、日本の交通軸の整備、国土強靱化、地域の発展の意味でも、国を巻き込んで実現させていくべき取り組みになる」と、広域的な気運の盛り上がりを必要とした。
豊予海峡ルートは、大分県佐賀関半島―愛媛県佐田岬半島をつなぐ約14㌔のルート。距離は東九州自動車道の大分―別府間とほぼ同じで、区間内の最大水深は約180㍍ある。大分市による調査では、海峡ルート建設実現に当たっては鉄道の新幹線単線(大分―松山駅)でトンネル建設の場合が概算事業費6860億円、橋梁複線の場合が1兆8070億円かかる。また道路では高速道路2車線(宮川内IC―保内IC)でトンネル建設の場合が6900億円、橋梁の場合が1兆2830億円かかると試算している。このルートを利用して大分から大阪までの時間短縮は、鉄道、道路とも今までより98分短縮できるという。
勉強会では、九州各地の交通網整備の取り組みについて報告があり、JR九州が9月23日に開業したばかりの西九州新幹線「かもめ」の概要、利用者数、経済効果などについて、また愛媛県土木建築部が四国の幹線道路網の整備状況などについて講演した。
勉強会2日目は、中九州横断道路竹田ICに出掛け、竹田阿蘇道路(L=22・5㌔)の濁淵川橋(会々地先―君ケ園地先)下部工工事現場(施工㈱盛田組)を視察した。佐伯河川国道事務所工務課の中村真一郎建設監督官が、竹田阿蘇道路の概要や開通におけるメリット、今後の工事予定などについて現地で説明を行った。
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14日 九州地方整備局が竹田阿蘇道路の着工を発表
上の記事で解説したので、引用のみ。
〜〜〜〜〜乗りものニュース2022年10月20日〜〜〜〜〜
九州地方整備局は2022年10月14日(金)、熊本県と大分県をつなぐ中九州横断道路のうち、両県境にまたがる工区「竹田阿蘇道路」の工事に着手すると発表しました。
中九州横断道路は、熊本市の九州道と大分市の東九州道をむすぶ計画の高規格道路。JR豊肥本線の道路版ともいえる広域ネットワークを形成します。総延長120kmのうち、66%にあたる79.8kmがすでに事業化・着工もしくは開通済みとなっています。
そのなかで竹田阿蘇道路は、ほぼ中間にあたる延長22.5kmの工区。阿蘇の高原へ駆け上がる山岳地帯で、熊本県側と大分県側では500m近い標高差があります。
熊本県側では隣接して「滝室坂道路」工区が工事中。約4.8kmの「滝室坂トンネル」は2018年に着工し、ことし8月に避難坑が貫通を迎えています。大分県側では2019年に竹田IC~犬飼ICまでが開通しています。
道中に急峻な山脈はなく、ほとんどが橋梁か盛土・切土となります。2019年に事業が始まり、設計や用地取得が進んできたこの道路計画が、いよいよ具体的な工事の段階へ進みます。着工式は12月11日の予定です。
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