2022年9月27日火曜日

「レア震源地」を紹介したい【震央地名】

 地震、怖いですよね。

揺れた!Twitterに集合だ!となって、探すツイートと言えば例えばこんなものではないですか?


 【緊急地震速報 第1報 2022年8月22日】

13時37分頃、茨城県南部を震源とする地震がありました。今後の情報に注意してください。


あ〜やっぱね。揺れたもんね〜。

じゃなくて。今回はこれに注目したいんです。

 

 【緊急地震速報 第1報 2022年8月22日】

13時37分頃、茨城県南部を震源とする地震がありました。今後の情報に注意してください。


「茨城県南部」って、どこ?


う〜ん、つくばは南部だね。水戸は北部かな。霞ヶ浦は、まぁ担当者ごとに気分で決めようか、とはなっていません。

日本の震源の名前(「震央地名」という)は、地図であらかじめ定められており、全部で292個の領域があります。

 

地震情報で用いる震央地名(日本全体図)

 

例えば、東日本大震災の震源「三陸沖」は耳馴染みがあるんじゃないでしょうか。

また、東京に住んでいる人なら「東京都23区」や「茨城県南部」はよく聞くでしょう。

 

では、逆にあまり聞かない「震央地名」にはどんなのがあるんでしょうか。

これを読めばあなたも「震央地名」通!地震がある度に震央地名を見て、レア震源地を見つけて嬉しくなりましょう。

 

「レア震央地名」については、実は先哲がいました。

奇抜な地震カウント集と地元の地震ブログさんの「日本の地震で観測数が少ない珍しい震源集」は、Googleスプレッドシートに移行して現在でも震源地別にカウントを続けています。


これがなければどれだけ筆者の作業が増えていたか。有り難く巨人の肩に乗って、2022927日現在で「過去10年以上(日本国内の地震計で)有感地震がない」震央地名をリストアップしながら、ボチボチ補足していきます。


 

○北海道

(画質が悪くてすいません)


後志地方東部 後志地方西部

上川地方中部 石狩湾

 

北海道は概して地震が少なく、5年以上地震がない震央地名も多かったです。

光り輝くのが「後志地方西部」で、なんと50年以上も出現していません。

リストの地名は単に震源地じゃないだけで、他所で起きた地震では揺れています。しかし、ここにランクインしてくる地名ともなると、やはり周囲でも地震が起こりにくいことが多いです。

「後志地方西部」の泊村には北海道唯一の原発が立地していますし、「上川地方中部」にほど近い滝上町と西興部村は平成の間に震度2以上の地震がありませんでした。

 

○東北地方


秋田県沿岸南部 山形県庄内地方

 

東北は地震が多いイメージですがそれは太平洋側の話。日本海側では地震が少ないことがよく現れています。秋田・山形の県境を跨ぐ沿岸部では地震が少ないようですね。

 

○関東地方(小笠原を除く)

(「東京都多摩西部」の42ヶ月が最長)

 

関東地方は他地区と比べて領域あたりの面積が小さいですが、それでもほとんどの地名で地震が頻発していました。東京に住んでからめちゃくちゃ揺れます。

Twitterで東京の人ばっかり「ゆれ」「ゆれ」言ってる気がしますが、単純に地震がメチャ多いんですね。さっさと遷都しましょう。

 

○北陸東海地方

(「駿河湾南方沖」の65ヶ月が最長)

 

この辺は逆に領域あたりの面積が大きいようで、この結果は妥当かと。

ちなみに補足しますと、当たり前の話なんですが、海で起こった地震はなかなか有感地震になりにくいですから、ちょっとズルイです。つまり、「東京23区」が震源の地震はM2.0でもどこかで「震度1」になる=有感地震にカウントされるけど、「駿河湾南方沖」でM2.0の地震があっても多分陸上では揺れない=有感地震にカウントされないということです。

海地名はズルしてレア度を上げています。

 

○近畿地方

○中国四国地方

兵庫県北方沖

島根県沖 鳥取県沖 隠岐島近海

 

中国地方の日本海沖一帯は全然地震が起きていないということが明らかになりました。

先ほど海地名のネガキャンをしましたが、ここら辺には隠岐島がありますから、多分本当に地震が少ないんでしょうね。流石に隠岐島にも地震計くらいあるでしょう、多分。

 

○九州沖縄地方


南大東島近海 沖縄本島南方沖 石垣島南方沖

 

九州本土では地震は少ないけど一定のペースで起きているという感じでした。熊本は熊本地震の余震もあってか、多くなっています。

沖縄地方では先ほどの中国地方と同様ですね。大東諸島はあるけど有感地震は起きていないということです。

 

○日本広域

鳥島東方沖 千島列島南東沖 北海道南東沖

本州南方沖 黄海 朝鮮半島北部

中国東北部 シベリア南部 フィリピン付近

 

日本広域には概ね領海外と小笠原諸島が分類されています。

そもそも領海外ですから人がおらず、有感地震が起こりにくくなっています。

また、例えば「シベリア南部」で地震が起きると「日本の地震計」は揺れなくとも「ロシアの地震計」は揺れているはずですが、それはノーカウントです。

ですからそもそも全部がレア震源地です。「四国沖」だけは南海トラフの関係で頻出ですが。

 

以上、レア震央地名を見てきました。全体として日本海側がやはり震源地となりにくいことが分かりました。皆様も防災に備えて楽しい震央地名ライフを!それでは。

 

おまけ1 変な震央地名

宮崎県は県の震源地名4区分を南北と「山沿い」「平野部」の組合せで表しています。

292の震央地名のうち、地名に「ひらがな」が入るのは「宮崎県北部山沿い」「宮崎県南部山沿い」、さらに東日本大震災の余震が頻発する「福島県中通り」「福島県浜通り」の4つだけです。

宮崎県は全域が日向国だったので「薩摩」「大隅」のようにできず、さらに東西南北で表しにくいから、地形を活かしたのかなと思います。「中通り」「浜通り」はまだ一般的に使われる地域名称なんですけどね。

ちなみに宮崎県の4地名では年イチくらいで地震起きています。

 

おまけ2 M0.9以下の有感地震

普通マグニチュードの相場といったら3くらいじゃないでしょうか。知らんけど。

しかし、震源が激浅で地震計のそばで揺れた場合にはマグニチュードが1以下でも地震が起こります。その直近の例が大分県でしたので、紹介したいと思います。

先述の「日本の地震で観測数が少ない珍しい震源集」の最下部にありました。

(気象庁地震分布データベースより)


大分県中部

2018112日 22:05 M0.8 震度1

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