2024年9月28日土曜日

倹約の話①楽天モバイル

倹約をしたいのならまず固定費を下げよう、というのはよくいう話です。

その固定費の中でも、最も下げる余地があり、最も下げても問題がないのは携帯代でしょう。

が、手続きが面倒くさく、後回しにしてしまうものです。


僕なんかは、ずっと親にソフトバンクを払って貰っていました。常々乗り換えようとは思っていたのですが、まあ自分が払ってるわけでもないし、生存贈与かな〜と思い、放っていました。

しかし、どうせ相続するしな……と思い直し、iPhoneの買換えを機に格安に乗り換えることにしました。

色々調べましたが、よく楽天市場を利用する関係もあり、楽天モバイルにしました。


楽天モバイルへの乗換えに際してはキャンペーンがあり、社員からの紹介があると14000ポイントが貰えるとのことでした。2024年9月現在でもこのサービスは続いているようです。

社員といっても、知り合いに社員がいなければ三木谷さん(楽天の会長)でもいいという無茶苦茶なキャンペーンです。


14000ポイントも貰えれば、大分-東京間が片道タダです。月額がチマチマ安くなるよりよほどデカいと思います。

同様の構造はモッピーなどの証券口座開設系の案件にもあります。チマチマNISAで増やすよりよほどデカいポイントが貰えて、なんだか本末転倒の感があります。


話が逸れました。とにかく、そのデカいポイントを確実にもらうべく、初めは最寄りの楽天モバイルのショップで買おうと思いました。キャンペーンがきちんと適用されるのか不安ですからね。

しかし、店員さんの態度(機嫌?)が悪く、さらに欲しいiPhoneの在庫もなかったのでやめました。iPhoneは同じシリーズでも、容量と色で数十通りがあるので、仕方ない話です。が、20万円の買い物なので、妥協はしたくないですね。


ネットで申し込むと先述のようにキャンペーンが適用されるか不安なので、電話で確認しました。「三木谷さんのキャンペーンについてお尋ねしたいのですが」と尋ねると「ああ、会長のですね」と返答されたのが、やたら印象的でした。



電話で確認したお陰で、今、14000ポイントを貰えています。契約後数ヵ月後に、3ヶ月に分けて、4000ポイント・5000ポイント・5000ポイントと3回月末に貰える仕組みです。

期間限定ポイント(マイル等に変換できない)なのが残念ですが、楽天モバイルの料金はポイントで支払えるので、それに充当すればよいのです。有効期間も長いので。



肝心な料金体系は、ざっくり、0-3GBで1000円、3-20GBで2000円、20GB-で3000円です。筆者は5ヶ月くらい連続で3-20GBに収まっていますし、みんなそんなものだろうと思います。

一時期、なんとか月3GBに収めてやろうと頑張ったのですが、無駄に疲れるのでやめました。特にギガ数に気を遣うことも無く、だいたい毎月10GBくらいですね。

ちなみに、初めて20GBを超えると1500ポイントプレゼントというキャンペーンをやっていますが、僕はまだ達成してません。

あと、海外でのスマホ利用が手続きなくできて、月に2GBはタダで使えるのも助かります。新婚旅行では月を跨いだので、4GBも無料で使えました。


次に言及すべきは通信品質でしょうか。結論は、特に不満はないというところです。ソフトバンクと大差ないんじゃないのかな。

なんか、この記事、ステマみたいですね。ただ乗換えたキャリアを絶賛しているだけです。安いので。


ちなみに、電話料金は専用アプリで電話すればタダです。妻はよく僕のスマホを使って電話をかけています。




あとは、楽天市場の優遇がアツいですね。楽天モバイルだとポイントが『+4倍』されます。

筆者は今までこの『+4倍』という表現について、本当は+2%でしかないのに0.5%を基準とすることで4倍と表現する三木谷の狡猾な騙くらかしだと誤解していましたが、本記事の執筆にあたり調べたところ、普通に+4%らしいです。凄すぎる。会長すみませんでした。

僕はこれを利用して、資格試験の問題集を楽天市場で買って爆速で解き、すぐに転売することでほぼタダで学習をする、という涙ぐましい努力をしましたが、それはまた別で書きます。蛍雪の功、と言ってよいでしょう。


あとは、iPhoneの本体代ですね。これが困った話なのです。楽天カードで決済すると、無利子で24回に分割払いできるとのことだったので、じゃあ預金の金利が勿体ないからと言って分割払いにしました。

しかし困ったことに、iPhoneの分割払い分が限度額上は一括で計算されてしまい、僕の楽天カードの限度額が20万円しかなかったために、実質月々数万円しか限度額がないという状況になっています。

一応増枠の申請をしたのですが、断られてしまいました。僕が無職であることが関係しているのかもしれません。クレヒスは綺麗なんですけどね。


まあそんな困った話もありますが、楽天モバイル自体には大満足です。ちょうどマイルに変換できないポイントが余っていたので、今まで一度も現金で月額を払っていません。みなさんも、ぜひ楽天モバイルなり何なりに切り替えてみてください。




こういう倹約にまつわるせせこましい話をたまに書いていこうと思います。普段考えていることを書いただけなのですが、思いのほか筆が走りました。参考になれば幸いです。



2024年9月24日火曜日

中津巡検①山国川の県境(2024年9月)

 久しぶりに巡検をした。

巡検とは学術研究の為のフィールドワークのことで、筆者は自分の趣味を学術研究だと思い込むことで自分を保っているので、この言葉を使う。


中津では以下のものを観察した。特に②なんかは、結構需要があるのではないかと睨んでいる。


①山国川の県境

②中津競馬場跡

③薦神社

④沖代平野の条里制

⑤小祝地区

⑥御境川と吉富町



帰省中の友人を拾った後、中津まで下道で向かった。言うまでもなく大分は豊後国、中津は豊前国である。車で2時間かかった。国が違うのも納得する。



尤も、高速で行けば1時間で着く。下道で山をノロノロ走ったから2時間かかった。

が、高速料金をケチれた以外に良いこともあった。図らずも佐田京石の近くを通り、見学できたことだ。



佐田京石は大分B級観光地の一つである。大きな岩が人為的に並べられている。説明板は、弥生時代のものと思われるが定かではない、と投げやりであった。同行した友人は「生殖器信仰の一種ではないか」という旨をもっと下品に発言していたが、形状からそうも思われない。


実は、石はこの状態で見つかったわけではなく、掘ったらデカい岩が見つかったので、本来あったふうになんとなく「復元」してみたというのが真相らしい。並べ方に古代人の想いを感じ取ったのがバカバカしくなる。

が、人間くらいの岩がゴロゴロ立っているというのは、岩が会議をしているようで面白くはあった。



山道を越え、豊前国に入った。まず向かったのが、山国川の県境である。筆者は熱烈な県境ファンであり、大分県の県境を通る道路を全てまとめている。が、現地に来たのは初めてである。感動もひとしお、というところだ。



初めに、県道16号線・大平橋に来た。県境標識が立っている。実は、この標識は、おそらく僕が立てたものなのだ。


2年前に記事でも紹介したが、僕は県境を通る道路にもかかわらず『大分県』のような県境を示す標識が立っていない箇所をリストアップして県に送り付けたことがある。県道路保全課からは、「ご指摘のとおり行政境を示す標識がない箇所について、順次設置していきます。」と返信を頂いた。


今にして思えば、仕事を増やして申し訳ない思いでいっぱいだ。筆者はあくまで県境オタク県民として投書したが、もしかしたら県に文句をつけたいあまりに標識を全て確認した激ヤバクレーマーと思われたかもしれない。



が、標識が立つのはよいことだ

さらに、橋には県境を意識した県鳥のデザインがあり、県境のポールも備えてあり、かなりマニア的に楽しい場所であることが分かった。



このあたりでは、一級河川・山国川が県境となっている。このことについて少し触れたい。

一般に、県境というものは概ね令制国の国境に準拠するものだ。例えば、大分県と宮崎県の県境、大分県と熊本県の県境は、豊後国の国境にならっている。



が、大分県と福岡県の県境の一部は、国境に従っていない。豊前国を分断するように、新たな境界線が引かれている。これが特色である。

尤も、完全に新たな線というわけではない。国の下の行政区画であるの境界を、県境として採用しているわけである。

なぜ国境を採用しなかったか、つまり、なぜ中津地域が福岡県ではなく大分県に入ることとなったかが問題だが、長くなるのでここでは触れない。



そういうわけで、山国川が県境となっている。

「やまくに」とは実に風雅な名前だと思う。『豊前国風土記』逸文にすでに見えるという。

近くには有名な耶馬溪があるが、今回はスルーする。



ところで、ここは県道16号線である。県道についてふたつ、読者に紹介したいことがある。

まず、100番以下の県道と101番以上の県道は大違いだということである。

100番までの県道は原則として「主要地方道」とされ、101番以上の県道「一般県道」と区別される。

具体的な差異としては、整備・管理費用の50%までを国が補助することができるという点がある。



半分国道のように扱われるわけだから、当然、国道に準ずるように交通量の多い路線が主要地方道として指定されている。

例えば、道路交通センサスによれば、この16号線の県境部分は一日に2647台の通行があるところ、後に見る102号線の県境部分は444台しか一日に通行しない。

101番以上とは大違い、ということである。


尤も、国道の中にもどうしようもなく通行量の少ない「酷道」があるように、主要地方道だからといって必ずしも賑やかな道ではない。例えば、大分県道41号線なんかは林道以下の山道であり、不慣れなドライバーを谷底に叩き込む。また、100番以下でも、大分県道57号線のように「一般県道」と扱われる特異な例もある。

それについてここでは詳しく触れないが、そのようなイレギュラーを愛するのが我々の趣味であると思う。



ふたつ紹介したいことがあると先に書いたが、マジで二つ目を忘れてしまったので、流して次に進みたい。次は車で5分ほど河口方面に進んだ県道102号線である。

ここにも同様に、僕が建立させた標識が立っている。僕が立てたなんて言うのは自意識過剰な話だが、あくまで冗談として言っていることを、一応付記しておく。


先に書いたように、ここは102番、つまり一般県道で、交通量が少ない。一日に444台しか通行しない。一時間に19台の計算である。我々が滞在している数分間で1台が通行しており、そんなものかと思う。

交通量が少ないので、工事車両が大量に橋の上に路駐しており、おおらかさを感じた。実質一車線道路となっていたが、全然さばけている。

標識以外に県境を示すものはなく、ここでも主要地方道と一般県道の差を感じた。



最後に、時系列は前後するが、山国川河口部の大分県で最も北にある県境道路・県道108号線も訪ねた。「一般県道」ながら、街中にあるため交通量は多く、一日に13334台が通行する。

主要地方道かどうかは必ずしも交通量だけで判定されるものではなく、都市間交通としての役割も考慮されるのだと思うが、詳しくはよくわからない。


さきほど二つ目で紹介したかったことを思い出した。県道が県境を跨ぐ場合、それぞれの県で路線の番号がどうなるかご存知だろうか?つまり、大分県道108号線が福岡県に入ったらなんという路線になるのだろうか?

正解は、福岡県道108号線になる。番号が異なる不都合を避けるため、1990年代に宮澤内閣の下で基本的に統一された。まあ、取るに足らない話であった。



山国橋からの景色は心地よかった。山国川は河口間近でふたつに分かれ、県境は左の方を採用している。つまり、あの中洲は大分県の領土である。

あの中洲を小祝という。実は、小祝は福岡県側の地名でもあり、県境が小祝地区を分断している形になるが、それはこの巡検記録で後述する。

2024年9月15日日曜日

【欧州新婚旅行】衛兵交代式リベンジ(4日目)

 今日はやることが少なめです。いい加減疲れてきましたからね。

3週間もヨーロッパにいるのですから、毎日走り回っていたら大変です。「住むように旅をする」という言葉を言い訳に、ホテルでゴロゴロするのもまた贅沢なものです。



再び来ました、バッキンガム宮殿。前日と比べて人が多いです。なぜなら、前日には衛兵交代式がなく、今日はあるからです。

日付を間違えた結果とはいえ、その両方のバッキンガム宮殿を知っている日本人はレアではないでしょうか。


9時半頃に着きまして、11時の開始まで1時間半。せっかくなので最前列で待ちましたが、これがなかなか苦行でした。いくらロンドンの緯度が高いと言っても、普通に暑いし、何より直射日光がギラギラです。


そんなこと全く考えていなかったので、手元の道具でなんとか暑さをしのぐ必要がありました。しかし、碌なものを持っていませんでした。Doveの制汗デオドラントスプレーの試供品(妻がジュースだと思って2個も受け取ったもの)をシューっとして一瞬の涼しさを味わうのが関の山でした。


妻なんか、隣の女性の日傘にこっそり入り込んでいました。我々はこの反省を踏まえて、以後日傘(雨傘ですが)を常備することになります。

とはいえね、天下の衛兵交代式ですから、待っていられます。いや、よく待っていられたなとは思いますけどね。



バッキンガム宮殿の旗は、国王がいるときは王室旗になっているそうで、この日は王室旗でした。昨日はユニオンジャックでしたから、両方見れたことになります。僕はいいこと探しが得意ですね。



11時になり、衛兵の行進が始まりました。交代式自体は門を潜ってから行うので、この場所からは観れません。よって、行進を観ることが我々のメインとなるのですが、やはり素晴らしかった。来た甲斐があるなぁと思います。

ただ、意外と衛兵の人数が少なかったですね。しかも、中で行われる交代式(なのかな?)が長い、長い。30分くらいあったでしょうか。当然その間も灼熱地獄ですから、はよ終われと思いました。一応賑やかしで音楽の演奏もあり、周りの欧米人はそこそこ盛り上がっていましたが、僕は別に楽しくなかったです。



その間に、なんか昨日見た気がする騎兵隊の行進もありました。デジャ・ヴですね。

ところで、この写真の左側に、黒人男性の背中が写り込んでいるのが分かりますか?僕たちは最前列に並んでいたのになんでこの人は僕たちの前にいるのか?

それはですね、車椅子の方のご家族なんですね。車椅子の方が最前列に入り込めるのは分かりますし、家族もいいと思いますけど、この人、座らないんですね。警察は行進が始まったら座るように指示していたのに、ですよ。

後ろの方からSIT DOWNの声が飛びますが、この男性はお構いなし。凄い神経をしてます。やっぱり思いますよね、本当に家族なのかよ、と。


僕は外国人のメンタルに感心していましたが、妻は憤りっぱなしでした。妻は何よりも不公正が嫌い、曲がったことが大嫌いです。妻が入り込んでいた日傘のお姉さんがマナーの悪い家族連れに良い場所を取られていたことにも怒っていました。妻にはほろ苦い時間となったようです。



長い交代式を終えて、ようやく夜勤明け?の衛兵が出てきました。見応えあるなぁ

ようやく終わった、という気持ちでした。



長い式が終わり、ぼちぼち散歩して、昨日も訪れたトラファルガー広場に来ました。

広場では妻のオシャレな写真が撮れました。後ろの時計台も相まって、さながらスペイン広場のアン王女・オードリーヘップバーンのようでした。言い過ぎかな?

ともかく、後々スペイン広場には行く予定なので、現地ではもっと良いのが撮れるのだろうかと不安になりました。



昨日はナショナルギャラリーに行きましたが、今日はそのお隣のナショナル・ポートレート・ギャラリーがお目当てです。

肖像画博物館ということで、イギリスの歴史にまつわる様々な偉人が飾られています。特に金属探知機などはなく、ヌルッと入りました。



調べたところによると、博物館で一番の目玉はシェイクスピアのようです。

教養の代名詞・シェイクスピアですが、僕は全く、疎いです。演劇に興味がない。

大学時代に友人に引っ張られて何度か行きましたが、まぁ、悪いものではないが、映画の方がいいなぁと思いました。

そんなことをシェイクスピアの前で考えていました。


イギリスの偉人といえば、セシル・ローズですよね。アフリカ縦断政策の帝国主義者で、僕の推しです。同担拒否ですよ!

勇んで肖像画を探しましたが、しかし、昨今のBLMの流れからか、単に世間ではそこまで有名人ではないからか、ローズの肖像画は見つけられませんでした。

悲しい話です。オックスフォード大学にあったらしいローズの像も撤去されてしまいました。しかし、いつの日か必ずや名誉回復がなされるはずです。ゴリゴリの帝国主義者なだけで、言うほど悪いことしてないですから。



ガックリですが、それでも帝国主義成分を色々探していると、インドっぽい絵を見つけました。1757年とあります。プラッシーの戦いですね。イギリスがインドからフランスを追い出した戦いです。約2世紀に及ぶ植民地支配の起点といってよいでしょう。

あまり肖像画らしくはないですが、植民地要素を見つけて満足です。


一点気になるのは、掲げている旗はなんの旗だろうかということです。ユニオンジャックに赤地。イギリス東インド会社のものではないです。手元の「植民帝国旗章図鑑」にも見当たりませんでした。

Yahoo知恵袋で尋ねたところ、レッドエンサインという植民地派遣陸軍旗だという答えがつきましたが、調べてもよく分かりませんでした。



セシル・ローズの絵がなかったのでいくぶん消化試合的なポートレートギャラリーですが、この部屋は気に入りました。結局、たくさん絵があるというだけですばらしいですね。



そういうわけで、この日の見物は終わり。バスでベッドフォードホテルまで戻り、次なるホテルに向かいます。

今回の英国の1週間の滞在の中で、ホテルを2箇所に分けて泊まります。なぜなら、その方がロンドンの色々な風景を見られると思ったからです。よい心掛けです。

もっとも、ベッドフォードホテルでゴロゴロしてる最中は、なんでホテル移らなきゃなんねえんだよ、荷物まとめるのダリいよ、と思っていました。

しかし、旅を終えて振り返ってみると、やはり立地が良いとはいえベッドフォードホテルは高かったので、安いホテルに移って良かったなあと思います。



御託はともかく、次のホテルはハイド・パークの目の前にあります。

ロンドンの中心部は、正方形を4分割して、第二象限がハイド・パーク、第四象限がグリーン・パークと考えればよいですが、ホテルはハイド・パークの上辺に面しています。地下鉄駅チカでよい感じです。

このホテルを起点に、ロンドン西部の観光をすることになります。



部屋はそこそこ綺麗でした。

ちなみに、窓の景色はゴミ捨て場でした。晴れやかな気持ちになりますね。



次回!そんなに楽しくなかったポートベッロ・ロード、一番のお気に入りのV&A



0日目 出国編

1日目 大英帝国の風を感じて

2日目 テムズとともに

3日目 4枚目のひまわり






2024年9月4日水曜日

【欧州新婚旅行】4枚目のひまわり

涙のバッキンガム宮殿


ロンドン観光といえば「衛兵交替式」という方もいるのではないでしょうか。

赤い服に黒い帽子の衛兵さんが、バッキンガム宮殿で交替する儀式を見学することができます。

妻の熱烈な要望により、早起きし、早めに並びに行くこととしました。

ホテルから3分ほど歩き、バス停で少し待つと、すぐに真っ赤なロンドンバスがやってきます。

乗り方は、手を挙げて停めて、運転席のピ!するところにクレカをピ!です。前乗り後ろ降りです。

定額運賃、1.7ポンド=340円くらいでした。

日本で二階建てバスを見るとロンドンバスみたいだなぁなんて思いますが、本場ロンドンでは当たり前のように二階建てです。せっかくなので二階に座りました。

バスは、図体が大きい割に、狭いところを縫うように進んでいくので、ハラハラしました。が、バスの二階から朝のロンドンの街並みを見るのは良い体験でしたね。


旅行前は「僕は街歩きが好きだから、なるべく交通機関に頼らず歩きたい」と豪語していた僕ですが、一日で諦め、今やすっかりバス派。暑いし疲れるし。だからその分、バスの車窓を食い入るように眺めたのでした。


有名なピカデリーサーカスを過ぎ、グリーンパークで降りました。近くには在英日本大使館がありますが、幸運にもこの旅で用になることはなかったです。

のんびりグリーンパークを散歩すると、見えてきました、バッキンガム宮殿!イギリス国王の居所です。平たく言えば王宮ですわな。

近寄ると、衛兵さんが二人、詰所の近くに立っていました。

定期的に行進して元の位置に戻る、という機械的な動きを繰り返していました。一生見てられるな、と思います。


さて、ひとしきり写真を撮って、衛兵交替式を待ちます。

11時スタートで、10時には結構並んでいるとのことだったので9時45分に来ましたが、そこまで人はいませんでした。

人がやけに少ないので、僕はこの時点で、あー妻が日付を間違えたかなと思いましたが、ホクホクの妻にそれは言い出せず、しばらく座って待ちました。

ネットで調べると、翌日でした。

嫁に話しました。途端に泣き崩れる嫁!というのは冗談ですが、かなりしょげていました。


衛兵交替式は、ウィンザー城とバッキンガム宮殿でおおむね隔日に交互で行われるようなのですが、公式サイトで先に出てくるスケジュールはウィンザー城のもので、それを妻が勘違いしたようでした。これから行かれる方は注意なさってください。

「明日また来ようね」と、しょげた妻をあやしていると、なんか来ました。

まさか衛兵交替式!?と思いましたが、騎兵隊のみの行進でした。どうやら、騎兵隊交替式は毎日やっているようです。後ろにおびただしい渋滞を作りながら、のんびり馬が歩いてます。

ちょうど進行方向が我々の目的と同じだったので、併走して歩くことにしました。馬はかわいいです。サラブレッドじゃないのも混じっていそうです。いい写真が沢山撮れました。

そして、「衛兵交替式があったら馬をこんなに撮れなかったよ!」と言うことで、妻も元気になりました。ありがとう、騎兵隊!



ナショナルギャラリー



ロンドンで一番訪れたかったのは大英博物館ですが、二番目はナショナルギャラリーでした。

ナショナルギャラリー。日本語では王立美術館でしょうか。イギリスが世界中からかき集めた絵画が収蔵されています。イギリス人には不思議と芸術家が少ないのですが、蒐集の目は確かなようです。

僕はこう見えてけっこう美術が好きなんですよ。中学時代は美術部で、部員全員にカゲプロのキャラクターを割り当ててましたからね。そのくらい好きです。


美術館前のトラファルガー広場をしばらく眺めた後、列に並びました。例によって無料で、例によって予約も可能で、例によって予約をしていなかったです。まぁ、それでも5分くらいで入れました。


あのナショナルギャラリーに5分で入れるなんて!

大学時代、上野の国立西洋美術館でナショナルギャラリー展がありました。しかし、チケットを取れずに行けなかったんですよ。

それで「いつかロンドンの本物のナショナルギャラリーに行こうね」なんて、彼女(現・妻)に嘯いたものです。叶っちった。いちいち感動してしまいます。


さて、見たいもの・見るべきものは事前に調べてきました。まず早足でroom43に向かいます。なんと言っても『ひまわり』があるからです。



フィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』は歴史上7枚存在しますが、そのうち4番目に描かれたものがここにあります。多分、一番有名なひまわりではないでしょうか。

着いてみると、人はいますが、案外少ない。旅の恥はかき捨てですから、いっぱい妻の写真を撮りました。もちろん、僕も撮ってもらいました。


正直、有名な絵画と写真を撮るだけで満足なのですが、写真を撮ってばかりなのは罪悪感があるので、しばらく眺めました。

僕が美術館を訪問する目的の大部分を占めるのは「有名な作品の写真を撮りてぇ!」です。心を奪われ身動きできずに時間を忘れてじっくり鑑賞する、といった体験に憧れますが、なかなかその機会が訪れません。長時間鑑賞するのは苦手です。

それでも、心に響く作品に出会いたいという目的もあるので一応全作品を流し見はしますが、一点集中で見ることはあまりないですね。


だから、いざ『ひまわり』と対峙して何を観れば良いのか分かりませんでした。

僕の芸術エピソードには黒歴史の中学美術部以外にもうひとつあって、高2の頃に、東京藝大を目指していたというのがあります。「藝大の芸術学部に入って写真を極めるんや!」という青春がありました。

なのに、絵画を真剣に鑑賞したことがない。自分でも呆れますが、まあ青春の無鉄砲とはそんなものかもしれないっすね〜

妻が「重ね塗りがすごいね」と言っていたので、そうだね〜と言いました。確かに、花弁の表現が巧みです。

というか、花弁が落ちたタワシみたいなひまわりが多過ぎないですか。過半数に迫る勢いでタワシがあります。どんなひまわりを活けてんねん、と思います。

タワシが却って花弁のあるひまわりの美しさを強調するとは思えても、タワシ自体が美しいとは僕には思えないなと思いました。ごめんねゴッホ。

近くにモネの『睡蓮』がありました。こっちこそ、世界に何枚あるんだよという感じですね。

印象派の代名詞になっている睡蓮ですが、僕には全く分かりません。分かる気もしなかったので、特に鑑賞もしませんでした。

が、この後の旅でかなり印象派に魅了されることになりまして、ブログを書きながら今更睡蓮にも興味が湧いてきました。

今度、東京上野の国立西洋美術館に睡蓮がたくさん来るそうなので、リベンジマッチをしたいと思います。

ネットで調べた「見るべき作品リスト」の中で一番気に入ったのは、イギリス人・ライトオブダービー『空気ポンプの実験』です。暗い実験室に人の顔が浮かび上がっています。

僕は写真が好きで、特に光と影が好きです。森山大道のファンです。だから絵画でも陰影を求めてしまいます。この見方がいいのか悪いのかは知りませんが、悪いとは言わせねえぞと思います。

あと、この無名のPaul Gauguinさんの作品も気に入りました、と思って調べたらゴーギャンでした。『花瓶の花』という静物画です。花の静物画なんだから、言ってみれば『ひまわり』と同じですよね。


ちょっと一丁前なことを書きますが、どちらも色が印象的ですね。

ナショナルギャラリーの『ひまわり』は他の6枚と比べても色が少なく薄いです。iPhoneの「写真」アプリで「彩度」を弱めた感じです。背景まで黄色ですからね。

それでも、様々な濃度の黄色を使い分けているから美しいわけです。


一方で、ゴーギャンの方は、なんの花か知りませんが、赤・青・緑が印象的です。

花に黄色が使われておらずひまわりと対照的で面白いし、何より色が濃いですよね。白や黒も使われていますし、黄色も背景ではふんだんに使われています。

まぁ正直、僕は原色に近い色が使われた絵画が好きなので、この作品にも色以外に魅力は見出せていません。が、まぁ何事もきっかけは大事ですからね。

あと、色も絵のうちですから!


と、なんか書いていますけど、この文章は今書きながら考えたことで、『花瓶の花』を観た当時は「色がいいね〜〜〜!!!」くらいしか思いませんでしたし、友人や家族のお土産話でも「ゴーギャンがサァ!良くてサァ!」なんて言いませんでした。

じゃあなんで取り上げているかというと、写真フォルダを見返すうちに魅力を感じたからです。僕はスマホの写真フォルダを見返すことで絵画に「出会う」ことが多いです。だからやっぱり美術館ではパシャパシャやっちゃうんですよ。

まぁ、魅力に気付く頃にはもう生で観られないという悲しみはあるんですけどね。また行きたいな〜



ビッグベン


存分に味わったので、ナショナルギャラリーを退散しました。どうでもいいことですが、外国のトイレは完全個室型が多いですね。つまり、日本のようにドアの上や下が開いているのでなく、完全に個室。音が気にならないのでこっちの方がいいです。

まぁ、トイレ自体は汚いですけど。

歩いて20分ほどでウェストミンスター寺院に着きました。これぞイギリス!という景色ですね。近くにあったビッグベン公式お土産ショップで、妻が大はしゃぎでした。結構なことです。


15分おきにチャイムが聞こえます。学校でおなじみの、キーンコーンカーンコーンです。これを『ウェストミンスターの鐘』と呼ぶことを僕は知っています。なぜなら、世にも珍しい防災無線マニアが友人にいるからです。


テムズ川を渡って、対岸からウェストミンスター寺院とテムズ川の写真を撮りました。もちろん、持参した自撮り棒でツーショットも撮りましたよ。新婚旅行はこうでなくちゃね。


さて、テムズ川を渡ったもうひとつの理由に、ナイチンゲール博物館に来てみたいというものがありました。別に僕は興味ないですよ。妻がナイチンゲールに憧れているのです。妻は、学校の図書館にある伝記マンガの大ファンで、特にナイチンゲールが好きだそうです。妻は利他的でありたいと常に願い、また、ナイチンゲールと自身を比較して落ち込んでいることがよくあります。本当に愛おしいですね。


そのナイチンゲールの博物館があるので、そりゃ行きたいに決まっているだろうと思い来ました。僕で言えば、帝国主義者・セシルローズの博物館があるようなものです。絶対に行きたいですからね。


問題は、入場料が一人12ポンドほどすることでした。一人2400円。う〜〜ん

何回も書きますが、我々はケチです。だから、僕は「僕は近くで散歩しているから一人で見てきな」なんて言っちゃうし、妻もケチだからどうするか迷っていました。ま、結局二人で入りましたけどね。4800円……。

しかし、中の展示は入場料に匹敵するものでした。妻は夢中で全ての展示に目を通していました。また、ナイチンゲールのコスプレコーナーもありまして、妻の良い写真を撮ることもできました。入って良かった。

で、帰って寝ました。次回・衛兵交代式リベンジ!


0日目 出国編

1日目 大英帝国の風を感じて

2日目 テムズとともに


4日目

5日目