涙のバッキンガム宮殿
ロンドン観光といえば「衛兵交替式」という方もいるのではないでしょうか。
赤い服に黒い帽子の衛兵さんが、バッキンガム宮殿で交替する儀式を見学することができます。
妻の熱烈な要望により、早起きし、早めに並びに行くこととしました。
ホテルから3分ほど歩き、バス停で少し待つと、すぐに真っ赤なロンドンバスがやってきます。
乗り方は、手を挙げて停めて、運転席のピ!するところにクレカをピ!です。前乗り後ろ降りです。
定額運賃、1.7ポンド=340円くらいでした。
日本で二階建てバスを見るとロンドンバスみたいだなぁなんて思いますが、本場ロンドンでは当たり前のように二階建てです。せっかくなので二階に座りました。
バスは、図体が大きい割に、狭いところを縫うように進んでいくので、ハラハラしました。が、バスの二階から朝のロンドンの街並みを見るのは良い体験でしたね。
旅行前は「僕は街歩きが好きだから、なるべく交通機関に頼らず歩きたい」と豪語していた僕ですが、一日で諦め、今やすっかりバス派。暑いし疲れるし。だからその分、バスの車窓を食い入るように眺めたのでした。
有名なピカデリーサーカスを過ぎ、グリーンパークで降りました。近くには在英日本大使館がありますが、幸運にもこの旅で用になることはなかったです。
のんびりグリーンパークを散歩すると、見えてきました、バッキンガム宮殿!イギリス国王の居所です。平たく言えば王宮ですわな。
近寄ると、衛兵さんが二人、詰所の近くに立っていました。
定期的に行進して元の位置に戻る、という機械的な動きを繰り返していました。一生見てられるな、と思います。
さて、ひとしきり写真を撮って、衛兵交替式を待ちます。
11時スタートで、10時には結構並んでいるとのことだったので9時45分に来ましたが、そこまで人はいませんでした。
人がやけに少ないので、僕はこの時点で、あー妻が日付を間違えたかなと思いましたが、ホクホクの妻にそれは言い出せず、しばらく座って待ちました。
ネットで調べると、翌日でした。
嫁に話しました。途端に泣き崩れる嫁!というのは冗談ですが、かなりしょげていました。
衛兵交替式は、ウィンザー城とバッキンガム宮殿でおおむね隔日に交互で行われるようなのですが、公式サイトで先に出てくるスケジュールはウィンザー城のもので、それを妻が勘違いしたようでした。これから行かれる方は注意なさってください。
「明日また来ようね」と、しょげた妻をあやしていると、なんか来ました。
まさか衛兵交替式!?と思いましたが、騎兵隊のみの行進でした。どうやら、騎兵隊交替式は毎日やっているようです。後ろにおびただしい渋滞を作りながら、のんびり馬が歩いてます。
ちょうど進行方向が我々の目的と同じだったので、併走して歩くことにしました。馬はかわいいです。サラブレッドじゃないのも混じっていそうです。いい写真が沢山撮れました。
そして、「衛兵交替式があったら馬をこんなに撮れなかったよ!」と言うことで、妻も元気になりました。ありがとう、騎兵隊!
ナショナルギャラリー
ロンドンで一番訪れたかったのは大英博物館ですが、二番目はナショナルギャラリーでした。
ナショナルギャラリー。日本語では王立美術館でしょうか。イギリスが世界中からかき集めた絵画が収蔵されています。イギリス人には不思議と芸術家が少ないのですが、蒐集の目は確かなようです。
僕はこう見えてけっこう美術が好きなんですよ。中学時代は美術部で、部員全員にカゲプロのキャラクターを割り当ててましたからね。そのくらい好きです。
美術館前のトラファルガー広場をしばらく眺めた後、列に並びました。例によって無料で、例によって予約も可能で、例によって予約をしていなかったです。まぁ、それでも5分くらいで入れました。
あのナショナルギャラリーに5分で入れるなんて!
大学時代、上野の国立西洋美術館でナショナルギャラリー展がありました。しかし、チケットを取れずに行けなかったんですよ。
それで「いつかロンドンの本物のナショナルギャラリーに行こうね」なんて、彼女(現・妻)に嘯いたものです。叶っちった。いちいち感動してしまいます。
さて、見たいもの・見るべきものは事前に調べてきました。まず早足でroom43に向かいます。なんと言っても『ひまわり』があるからです。
フィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』は歴史上7枚存在しますが、そのうち4番目に描かれたものがここにあります。多分、一番有名なひまわりではないでしょうか。
着いてみると、人はいますが、案外少ない。旅の恥はかき捨てですから、いっぱい妻の写真を撮りました。もちろん、僕も撮ってもらいました。
正直、有名な絵画と写真を撮るだけで満足なのですが、写真を撮ってばかりなのは罪悪感があるので、しばらく眺めました。
僕が美術館を訪問する目的の大部分を占めるのは「有名な作品の写真を撮りてぇ!」です。心を奪われ身動きできずに時間を忘れてじっくり鑑賞する、といった体験に憧れますが、なかなかその機会が訪れません。長時間鑑賞するのは苦手です。
それでも、心に響く作品に出会いたいという目的もあるので一応全作品を流し見はしますが、一点集中で見ることはあまりないですね。
だから、いざ『ひまわり』と対峙して何を観れば良いのか分かりませんでした。
僕の芸術エピソードには黒歴史の中学美術部以外にもうひとつあって、高2の頃に、東京藝大を目指していたというのがあります。「藝大の芸術学部に入って写真を極めるんや!」という青春がありました。
なのに、絵画を真剣に鑑賞したことがない。自分でも呆れますが、まあ青春の無鉄砲とはそんなものかもしれないっすね〜
妻が「重ね塗りがすごいね」と言っていたので、そうだね〜と言いました。確かに、花弁の表現が巧みです。
というか、花弁が落ちたタワシみたいなひまわりが多過ぎないですか。過半数に迫る勢いでタワシがあります。どんなひまわりを活けてんねん、と思います。
タワシが却って花弁のあるひまわりの美しさを強調するとは思えても、タワシ自体が美しいとは僕には思えないなと思いました。ごめんねゴッホ。
近くにモネの『睡蓮』がありました。こっちこそ、世界に何枚あるんだよという感じですね。
印象派の代名詞になっている睡蓮ですが、僕には全く分かりません。分かる気もしなかったので、特に鑑賞もしませんでした。
が、この後の旅でかなり印象派に魅了されることになりまして、ブログを書きながら今更睡蓮にも興味が湧いてきました。
今度、東京上野の国立西洋美術館に睡蓮がたくさん来るそうなので、リベンジマッチをしたいと思います。
ネットで調べた「見るべき作品リスト」の中で一番気に入ったのは、イギリス人・ライトオブダービー『空気ポンプの実験』です。暗い実験室に人の顔が浮かび上がっています。
僕は写真が好きで、特に光と影が好きです。森山大道のファンです。だから絵画でも陰影を求めてしまいます。この見方がいいのか悪いのかは知りませんが、悪いとは言わせねえぞと思います。
あと、この無名のPaul Gauguinさんの作品も気に入りました、と思って調べたらゴーギャンでした。『花瓶の花』という静物画です。花の静物画なんだから、言ってみれば『ひまわり』と同じですよね。
ちょっと一丁前なことを書きますが、どちらも色が印象的ですね。
ナショナルギャラリーの『ひまわり』は他の6枚と比べても色が少なく薄いです。iPhoneの「写真」アプリで「彩度」を弱めた感じです。背景まで黄色ですからね。
それでも、様々な濃度の黄色を使い分けているから美しいわけです。
一方で、ゴーギャンの方は、なんの花か知りませんが、赤・青・緑が印象的です。
花に黄色が使われておらずひまわりと対照的で面白いし、何より色が濃いですよね。白や黒も使われていますし、黄色も背景ではふんだんに使われています。
まぁ正直、僕は原色に近い色が使われた絵画が好きなので、この作品にも色以外に魅力は見出せていません。が、まぁ何事もきっかけは大事ですからね。
あと、色も絵のうちですから!
と、なんか書いていますけど、この文章は今書きながら考えたことで、『花瓶の花』を観た当時は「色がいいね〜〜〜!!!」くらいしか思いませんでしたし、友人や家族のお土産話でも「ゴーギャンがサァ!良くてサァ!」なんて言いませんでした。
じゃあなんで取り上げているかというと、写真フォルダを見返すうちに魅力を感じたからです。僕はスマホの写真フォルダを見返すことで絵画に「出会う」ことが多いです。だからやっぱり美術館ではパシャパシャやっちゃうんですよ。
まぁ、魅力に気付く頃にはもう生で観られないという悲しみはあるんですけどね。また行きたいな〜
ビッグベン
存分に味わったので、ナショナルギャラリーを退散しました。どうでもいいことですが、外国のトイレは完全個室型が多いですね。つまり、日本のようにドアの上や下が開いているのでなく、完全に個室。音が気にならないのでこっちの方がいいです。
まぁ、トイレ自体は汚いですけど。
歩いて20分ほどでウェストミンスター寺院に着きました。これぞイギリス!という景色ですね。近くにあったビッグベン公式お土産ショップで、妻が大はしゃぎでした。結構なことです。
15分おきにチャイムが聞こえます。学校でおなじみの、キーンコーンカーンコーンです。これを『ウェストミンスターの鐘』と呼ぶことを僕は知っています。なぜなら、世にも珍しい防災無線マニアが友人にいるからです。
テムズ川を渡って、対岸からウェストミンスター寺院とテムズ川の写真を撮りました。もちろん、持参した自撮り棒でツーショットも撮りましたよ。新婚旅行はこうでなくちゃね。
さて、テムズ川を渡ったもうひとつの理由に、ナイチンゲール博物館に来てみたいというものがありました。別に僕は興味ないですよ。妻がナイチンゲールに憧れているのです。妻は、学校の図書館にある伝記マンガの大ファンで、特にナイチンゲールが好きだそうです。妻は利他的でありたいと常に願い、また、ナイチンゲールと自身を比較して落ち込んでいることがよくあります。本当に愛おしいですね。
そのナイチンゲールの博物館があるので、そりゃ行きたいに決まっているだろうと思い来ました。僕で言えば、帝国主義者・セシルローズの博物館があるようなものです。絶対に行きたいですからね。
問題は、入場料が一人12ポンドほどすることでした。一人2400円。う〜〜ん
何回も書きますが、我々はケチです。だから、僕は「僕は近くで散歩しているから一人で見てきな」なんて言っちゃうし、妻もケチだからどうするか迷っていました。ま、結局二人で入りましたけどね。4800円……。
しかし、中の展示は入場料に匹敵するものでした。妻は夢中で全ての展示に目を通していました。また、ナイチンゲールのコスプレコーナーもありまして、妻の良い写真を撮ることもできました。入って良かった。
で、帰って寝ました。次回・衛兵交代式リベンジ!
4日目
5日目
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