2017/12/27
網走地方の北浜駅で、茫漠そのもののオホーツク海を見ていた。荒涼とした大地を走る列車を見た時、もうこのくらいでいいかな、と思った。
次に降りるはずだった鱒浦駅を飛ばし、一気に旭川まで入ることにした。北見峠を越える列車は朝を逃すと次は夕方で、今判断するしかなかった。特別快速「きたみ」に乗り込み運行情報を確認すると、夕方の普通列車は荒天のため運休になっていた。まさに綱渡りの旅といったところか。
廃止で失われてしまった所謂「白滝シリーズ」を通過し、昼頃に石北本線を制覇して旭川に着いた。一息付く間も無く宗谷南線に乗り換える。列車は意外と混んでおり、宗谷南線の安泰を感じつつ前面展望が見える場所に立った。
予定を急遽変更したため、宿をとった旭川に19時頃には帰り着けるような駅を探した結果、東六線駅が手頃だということとなった。旭川からある程度近く、何と言っても名前が良い。これは開拓の歴史がある北海道独特の地名で、バス停にはこの種の名前は多くあるが駅名となるとここがほぼ唯一ではなかろうか。
14時頃駅に着いた。当然ながら僕しか降りず、新雪を踏みしめる。駅舎はオンボロだが趣があり、中は暖かかった。周辺に人家は無く、遠くに集落が見えるのみ。
駅周辺の鉄路には鉄道林が卓越しており、盆地の強風の激しさが想像できる。近くの鉄道林に沿った道はかつて飯田線で歩いた道に似ており、季節は違えど感傷的な気分になった。
散策していると、急に小を催した。普通なら適当な草むらに立ちションをするところだが、如何せん積雪があり、九州育ちの人間にはどこですべきか分からない。色々考えた結果、雪を一部掘って小便器と見なすのが良かろうという考えに至った。早速実践、東六線駅は黄に染まった。
問題はここからである。図ったかのようなタイミングで、JR北の除雪隊が駅にやってきた。総勢20名は居ただろうか。即席トイレは隠してはあるが、掘り起こされてしまったら困る!僕は慌てて近くの集落の方まで逃げ出した。
愚行のうちに日は沈んだ。いくらかの通過列車の写真を撮っていると、雪が降り出した。駅舎に避難して暖を取りながら闇夜を舞う雪を見て、北海道を旅しているなぁ、と思った。