2019年10月15日火曜日

下灘駅(予讃線)

下灘駅探訪記
2017.03.31



下灘駅に初めて訪れた時は、父と二人だった。テレビで見た駅に行ってみようと、大分からフェリーと電車で訪れたのだ。朝4時台のフェリーから空の朝焼く様が鮮烈に見え、父は船室で休んでいたが僕は高揚しずっと甲板にいたのを覚えている。列車に揺られ降りると、青い空に青い海が目前に広がる。父に写真を撮られながら、少年の僕は何を考えたのか、今ではもう覚えていない。帰りの船でアイスを食べ、疲れて寝たことだけが確たる記憶だ。今思えば、僕の秘境駅巡礼の根源はこの旅だったかもしれない。

それからもう一度友人と来た。防災無線の動画を撮るのが趣味の変な友人。中二の頃だ。友人は駅そのものより近くの防災無線に興味があって、二人で正午の「瀬戸の花嫁」のメロディを聴いた。

だから今回で訪れるのは3回目、同じ友人との瀬戸内海一周旅の初日だった。今日は初めて晴天ではなく、雨に降られた。初めのうちは下灘駅サイドも観光客に良いカッコを見せようと晴れさせてくれたが、3回目ともなるともはや気を遣われないようだ。雨は残念ではあったが、身内になれたような気がして悪い気はしない。

駅を一通り見物すると、僕は友人と別れて近くを散策に出た。(友人は防災無線を探していた。)西に暫く歩くと鉄道沿いに集落があって、もう暫く歩くと橋の下に船とレールが敷いてある基地があった。海へ続くレールを見て千と千尋的だなと思った。これが鉄道なら、さぞ楽しかろうと考えた。

その後友人と合流し、松山に出発した。
僕の生涯に渡る旅の起点で、節目ごとに訪れてきた下灘駅。最早、僕の成長アルバムのようだ。今後も定期的に訪れ、駅と共にこれまでの僕の人生を見てみたい。
旅の中で少年は青年になり、大人になる。

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