一部の世界では日進月歩に進化し続け、同時にそれらの恩恵に授かることなく、
これまでと然程変わらぬ既存の生活を続けるその他大勢の人々。
今我々は混沌とした世界、いわゆるカオスの状態に身を置いている。
未来なのに寂れた鉄工所、
宮崎作品に登場するシーンは決して空想だけの世界ではないのかも知れない。
それに近い世界がこの県道にはある。
( ORRの道路調査報告書『大分県道715号木田神崎線(1)』)
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一般に県境を跨ぐバス路線の数は少ないが、大分-福岡県境を越える路線は合計7路線もある。
さらにそれは以下の3方面に分類できる。
①豊前方面5路線
②彦山方面1路線
③浮羽方面1路線
順に概要を見ていきましょう。
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①豊前方面5路線
コミュニティバス豊前・中津線(豊前市役所-中津市民病院)
西友枝線・東上線(大平支所-イオンモール三光)上毛町コミュニティバス
唐原線(イオンモール三光経由)上毛町コミュニティバス
新吉富線(上毛町役場-イオンモール三光)上毛町コミュニティバス
築上東部乗合タクシー(大平支所-中津駅)
上図は私が簡単に作った地図。
5路線のうち赤・緑・灰の3路線は上毛町コミュニティバスであって、県境を越えるといっても、僅かに越えて『イオンモール三光』にお邪魔しているという程度のものだ。この地域におけるイオンモールの存在感や様態、他路線への接続などについては、各路線の記事で詳述するつもりだ。
コミュニティバスだからといって必ずしも市町村域を出られないわけではない、というのは妥当性があろう。ただそういう場合、上毛町は中津市にどのような話を通すことになるのだろうか。ちょっとだけ気になる。
他の2路線は、本格的な越境路線とみて良いだろう。
まず青のコミュニティバス豊前・中津線は、豊前市・吉富町・中津市が共同運行する、かなり気合の入ったコミュニティバスだ。目的はもちろん、終着点から察する通り中津市民病院へのアクセスにある。周防灘に面する当地域は中津市を中心とする「定住自立圏」を構築しており、その事業の一環ということだ。一つ気になる点は、この路線バスに中津市がお金を出すメリットが見当たらない点である。新聞記事によれば約1000万円の事業費は通過する路線距離ごとに分担するようで、中津市も約400万円を負担しているようだ。中津市民の血税を使うわけだが、どんなメリットがあるのだろうか?定住自立圏がポイントだろうか。そういったことを、各路線記事で邪推していく。
もう一つは黄の筑上東部乗合タクシーだ。タクシーという名称だが、定時運行する形態のようで、対象とした。調べが済んでいないので何も言えないが、県境地域の福岡県側人口集中地域を貫いて、結局特急停車駅たる中津駅まで行くルートである。ところで、中津駅の一般的な『正面玄関』は南口のような印象がある。わざわざ北口まで行くのは吉富町地域を通過するためであり、こうした点に民間の『吉富タクシー』が運行するゆえの柔軟性を感じる。情報が少ないから、しっかり調べたいと思う。
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②彦山方面1路線
日田彦山線BRT
(西日本新聞2020年7月16日配信記事『JR日田彦山線、BRT延伸を決定 被災から3年、23年までに復旧』より転載)
BRTを「越境バス路線」に含めるかどうかは迷うところだ。だが、以下3つの理由からバスとみなすこととした。
1 BRTはバス・ラピッド・トランジットの略であり、本来的にバスである。
2 JR九州が譲歩したBRT専用道案も宝珠山駅までであり、おそらく県境は国道212号線を越えるのではなかろうか。
3 別にバスとみなそうがそうでなかろうが結局特集することになるので、どちらでも良い。
記事の内容としては、日田彦山線の歴史(特に災害復旧の歴史)、BRTをめぐる交渉の記録、利用様態などだろうか。
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③浮羽方面1路線
神杉野線(コミュニティセンター-杷木)西鉄バス久留米
一番面白そうなのはこれだ。
『神杉野』は県境を越えて初めての大分県側バス停の名称だが、軽く調べた限り、バス停名称以外に神杉野という地名が見当たらなかった。
終点である柚木地域は日田市の中でも周囲から孤立した地域であり、県道の開通状況やこのバス路線に鑑みるに、ほとんど福岡県といってよいかもしれない。
路線の記事では、路線の歴史や利用状況、柚木地域の特色や県道の開通状況にも注目しておきたい。
参考:福岡大分r106の未開通区間
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