分析ソフトTARGETを使えるようになったので、色々と分析してみるコーナーになります。
単勝万馬券は欲しいものですが、単勝万馬券を狙っていては損をするのが競馬です。明らかに期待値が低く、買いデータで多少の上積みはあったとしてもたかが知れているからです。
過去10年(集計期間:2011. 8.13 ~ 2021. 8. 1)で単勝50倍以上の馬の成績は
1007-1893-2983/164172
0.6% / 1.8% / 3.6% (勝率/連対率/複勝率)
58 / 61 (単勝回収値 / 複勝回収値)
です。回収率が設定の80を大きく下回り、期待値が低い馬券に思えます。
しかし、これを 50倍~99.9倍 と 100倍以上 に細分すると以下のようになります。
50.0~99.9 715- 1326- 1907- 60296/ 64244 1.1% 3.2% 6.1% 75 / 76
100.0~ 292- 567- 1076- 97993/ 99928 0.3% 0.9% 1.9% 47 / 52
100倍以下の馬は10万頭いて2000頭も来ないくらいですから、無視をしましょう。回収率も著しく悪いですから、もし着たら2%の事故です。
事故が起きることを期待して馬券を買い続ける方が損失が大きいので、無視をします。
問題は、50~99.9倍の馬です。複勝率は6.1%もあり、回収値が随分と80に近づきました。
6%といえば、ぜったいれいどを当てられたのちに反撃のストーンエッジを外すくらいの確率です。つまり、50~99.9倍の馬は意外と馬券に飛び込んでくるということです。
〇人気薄が飛び込む条件・飛ぶ条件
100倍以上の馬は事故として消せました。しかし、50~99.9倍の馬の6.1%という確率は、事故として処理するには高すぎます。
では、どのような場合にその50馬(50~99.9倍の馬の略)は買える・消せるでしょうか。様々な条件から50馬が来やすい・飛びやすい条件を集め、それらを組み合わせることで消せる条件・買える条件を探します。
(以下はすべて過去10年の芝・ダート全レースのうち単勝オッズが50~99.9倍の馬のデータを抽出しています。)
・コース
芝 349-657-953/31291 1.1% 3.2% 6.3% 77 / 77
ダート 366-669-954/32953 1.1% 3.1% 6.0% 74 / 74
好走率はやや芝が高く、回収値も芝が優秀です。ダートの人気薄は少し割引。
・性別
牡 388-734-1097/34272 1.1% 3.3% 6.5% 76 / 78
セン 34-62-82/2764 1.2% 3.5% 6.4% 85 / 78
牝 293-530-728/27208 1.1% 3.0% 5.7% 74 / 72
人気薄の牝馬は買い辛いですね。複勝率が牡馬と0.8%も違います。逆に、牡馬は複勝回収率が80に迫っています。
意外なのは、騙馬が大したことないことです。とはいえ回収値は良いですね。
・ブリンカー
BL使用 70- 129- 186- 5590/ 5975 1.2% 3.3% 6.4% 77 / 77
BL非・不使用 645- 1197- 1721-54706/58269 1.1% 3.2% 6.1% 75 / 75
穴馬といえばブリンカー、ブリンカーといえば穴馬。僕はそう思います。
実際、ブリンカーを使う馬の方がわずかに人気薄で好走しやすいようです。誤差かもしれませんが、少なくともマイナスには働いていないようです。
・クラス別
新馬 70- 139- 190- 5950/ 6349 1.1% 3.3% 6.3% 77 76
未勝利 240- 457- 709-21100/22506 1.1% 3.1% 6.2% 73 78
1勝 224- 381- 537-18083/19225 1.2% 3.1% 5.9% 78 73
2勝 98- 172- 248- 7520/ 8038 1.2% 3.4% 6.4% 79 81
3勝 36- 68- 93- 3218/ 3415 1.1% 3.0% 5.8% 74 73
OPEN非L 23- 35- 44- 1689/ 1791 1.3% 3.2% 5.7% 85 64
OPEN(L) 2- 7- 7- 279/ 295 0.7% 3.1% 5.4% 54 68
G3 16- 31- 38- 1288/ 1373 1.2% 3.4% 6.2% 83 73
G2 4- 22- 25- 575/ 626 0.6% 4.2% 8.1% 39 85
G1 2- 14- 16- 594/ 626 0.3% 2.6% 5.1% 25 56
続いてクラス別です。基本的にクラスが上がるごとに好走率は下がりますが、G3とG2では人気薄の激走が有意に多いです。さすがにG1では穴を開けられないようですが。
・馬場状態
芝・良/稍重 複勝率6.1% 73/75
芝・重/不良 複勝率8.2% 123/102
ダ・良/稍重 複勝率6.0% 75/74
ダ・重/不良 複勝率6.2% 70/76
馬場状態別です。良と稍重、重と不良はそれぞれ同程度だったため合わせました。
馬場が渋ると穴馬が走りそうです。芝ではその傾向が如実で、この10年間、重/不良馬場の芝レースで50~99.9倍の馬に何も考えずに毎回1000円分単勝を買っていたら50万円儲かっている計算になります。的中率が低く試行回数も低いのが玉に瑕ですが。あとで分析しましょう。消す視点で言うならば、重/不良馬場では消せません。今までの試行錯誤はすべて渋らない前提だと思ってください。
・前走脚質別
平地・逃げ 30- 69- 89- 3436/ 3624 0.8% 2.7% 5.2% 54 66
平地・先行 146- 246- 319-10418/11129 1.3% 3.5% 6.4% 88 77
平地・中団 221- 443- 682-20044/21390 1.0% 3.1% 6.3% 69 76
平地・後方 223- 398- 585-18339/19545 1.1% 3.2% 6.2% 78 77
前に逃げた馬は非常に戦績が悪いようです。一般に前走で逃げた馬の次走は良いのですが、人気薄ではダメなようです。
<参考:過去一年の平地全レースでの前走逃げ馬の戦績>
349- 278- 257- 2494/ 3378 10.3% 18.6% 26.2% 78 73
・前走競争結果
取消除外 7- 6- 3- 193/ 209 3.3% 6.2% 7.7% 251 103
競走中止 2- 3- 5- 125/ 135 1.5% 3.7% 7.4% 81 113
買いデータ。一般にこれら馬は普通の戦績ですが、人気薄だと好走するようです。
・種牡馬
タートルボウル 5- 12- 10- 251/ 278 1.8% 6.1% 9.7% 114 110
ディープブリランテ 6- 12- 16- 350/ 384 1.6% 4.7% 8.9% 116 102
ディープスカイ 10- 7- 11- 314/ 342 2.9% 5.0% 8.2% 203 107
マツリダゴッホ 6- 12- 30- 545/ 593 1.0% 3.0% 8.1% 71 101
エピファネイア 1- 6- 10- 195/ 212 0.5% 3.3% 8.0% 40 83
トーセンホマレボシ 5- 4- 9- 207/ 225 2.2% 4.0% 8.0% 175 108
スマートファルコン 6- 5- 10- 244/ 265 2.3% 4.2% 7.9% 145 88
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キングヘイロー 5- 8- 19- 600/ 632 0.8% 2.1% 5.1% 53 66
スウェプトオーヴァ 5- 7- 22- 638/ 672 0.7% 1.8% 5.1% 54 67
キングカメハメハ 14- 25- 42-1542/1623 0.9% 2.4% 5.0% 58 65
ハーツクライ 19- 19- 32-1356/1426 1.3% 2.7% 4.9% 84 63
クロフネ 10- 24- 36-1363/1433 0.7% 2.4% 4.9% 48 55
サクラバクシンオー 6- 9- 10- 507/ 532 1.1% 2.8% 4.7% 76 60
マンハッタンカフェ 10- 18- 19- 977/1024 1.0% 2.7% 4.6% 71 57
ロードカナロア 5- 8- 8- 468/ 489 1.0% 2.7% 4.3% 61 65
おまけ①です。過去10年間で100頭以上今回のオッズで出走した種牡馬で、買えるものと消せるものを抽出しました。これはピンポイント過ぎて後の期待値計算には使えませんが、参考までに。
・騎手別
斎藤新 5- 6- 14- 223/ 248 2.0% 4.4% 10.1% 139 113
松田大作 11- 13- 23- 524/ 571 1.9% 4.2% 8.2% 127 102
津村明秀 14- 20- 34- 765/ 833 1.7% 4.1% 8.2% 109 102 112.5
菅原明良 4- 7- 9- 228/ 248 1.6% 4.4% 8.1% 104 106 110.4
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横山典弘 3- 2- 8- 278/ 291 1.0% 1.7% 4.5% 69 54
武豊 0- 2- 5- 156/ 163 0.0% 1.2% 4.3% 0 64
岩田康誠 2- 8- 10- 481/ 501 0.4% 2.0% 4.0% 22 43
藤田菜七子 0- 7- 6- 575/ 588 0.0% 1.2% 2.2% 0 30
おまけ② 藤田奈七子はマズい。
・馬体重増減
~-20kg 4- 4- 4- 276/ 288 1.4% 2.8% 4.2% 103 51
-19~-10kg 37- 51- 118- 3771/ 3977 0.9% 2.2% 5.2% 64 64
+20kg~ 11- 5- 14- 702/ 732 1.5% 2.2% 4.1% 103 51
大幅な体重増減がある馬は単勝回収値が高くなる傾向にありますが、複勝率は確実に下がります。今回は消しデータとして運用できそうです。
・競馬場
札幌 26- 48- 100- 2249/ 2423 1.1% 3.1% 7.2% 73 83
中京 67- 95- 162- 5664/ 5988 1.1% 2.7% 5.4% 76 66
競馬場別では、札幌は買い、中京は消しということです。
・距離
1400m 98- 202- 257- 9277/ 9834 1.0% 3.1% 5.7% 67 70
2000m 70- 130- 192- 5403/ 5795 1.2% 3.5% 6.8% 83 81
2400m 17- 33- 41- 1218/ 1309 1.3% 3.8% 7.0% 85 82
人気薄は非根幹距離で生じやすいのでしょうか。1400mの成績が如実に悪かったです。一方2000と2400は好走。
・月別
7月 73- 123- 189- 5123/ 5508 1.3% 3.6% 7.0% 92 85
8月 68- 131- 187- 5217/ 5603 1.2% 3.6% 6.9% 85 84
9月 56- 101- 161- 4265/ 4583 1.2% 3.4% 6.9% 81 81
やはり夏競馬。夏競馬には魔物が住んでいる。逆に、他の月は5.2%~6.0%程度。
以上のデータを用いて、50~99.9倍以内の馬と対峙した際に、消せる!と確信できる複勝率2%以下の条件を紹介していきます。
・ダート/1900m以下/7,8,9月以外/牝馬
84-156-228/9815 0.9% 2.4% 4.8% 56/61
・ダート/1900m以下/7,8,9月以外/牝馬/中京/良・稍重
7-8-23/831 0.8% 1.8% 4.6% 61/60
・ダート/1900m以下/7,8,9月以外/牝馬/体重-10kg以下
0-4-19/749 0.0% 0.5% 3.1% 0/31
・ダート/1900m以下/牝馬/体重-10kg以下
2-6-24/942 0.2% 0.8% 3.4% 14/36
ある程度の母数を持つデータで複勝率2.0%を目指したかったのですが、ダートで頑張って3.1%が限界でした。牝馬かつ体重大幅減はかなり消しデータであることは示せたかと思います。消しデータは騎手や種牡馬で詰めていくしかないかもしれません。
買える条件については、別途記事を用意します。芝の重・不良馬場時のデータとか。